「No.2もトップと同じ目線であれ」メルカリ小泉社長にCOO樋浦が聞く!経営論

メルカリ小泉文明社長兼COOに、READYFOR 代表取締役COO樋浦直樹が、現在直面するリアルな問いをぶつける対談。後編は、経営者として、何に時間と頭を使い、どうインプットし、いかに視座を上げて未来を描くかについてーー。前編はこちらから。

最大のインプットは登壇者として人と話すこと

樋浦 小泉さんはどういう時間の使い方をしているんですか? 抱えている仕事量を考えると、1日24時間では足りない気がするんですが……。

小泉 僕は基本的に二つのことを同時進行していた方が集中できる人間なんですよ(笑)。基本的に社内のslackはずっと見ていて、必要があればすぐに返信します。基本1行、長くても3行くらいで簡潔に。MTGは社内30分、社外1時間の枠で参加して、話を聞きながら別の作業をしていることもあります。

樋浦 聖徳太子のような……!会社の情報以外のインプットはどうされていますか?

小泉 一番のインプットは人と会うこと。毎晩誰かと飲んでますね。あとは、カンファレンスで登壇すること。登壇することで必要に迫られてインプットが増えるし、吸収力も高い。そのテーマに詳しい面白い人がいたら、一緒に登壇しようって誘っちゃう(笑)。人と登壇することで、学びも増えるし、考えが深まる。昔から受験勉強含め座学でのインプットが得意じゃないので、人から学ぶことが多いですね。

あと、読んでおきたい記事は、タブを開いておいて、時間があるときにひたすら読む。AIからガバナンスまで、幅広いジャンルの記事のタブが数十個開かれていることがよくありますね。

目指すゴールから必要なものを「逆算」して考える

樋浦 メルカリの初期は小泉さんが多様な役割を担っていたと思うんですが、考える視点やスパンが違うものを同時並行で進めていく時に、頭の切り替えはどうされていましたか?

小泉 初期は、ものづくり以外は全部担っていましたね。PR、マーケ、ファイナンス、採用、HR、CS。プロデューサーとエンジニア以外は全員、僕の傘下にいました。でも、すべてが1本でつながっているので、頭を切り替えるという感覚はないですね。

樋浦 現在と未来における思考も切り替えは必要ないですか?今やるべきことはこれ、中長期でやるべきことはこれ、といったような。

小泉 ないですね。常に目の前の数字から未来のことを考えるのではなく、逆算で考えています。たとえば、メルカリが100万ダウンロードに到達したら、マーケティング施策としてテレビCMを打とう、ユーザーが増えればヤマト運輸との連携やCS拠点の拡充が必須だなと、ゴールから必要なものを逆算して考える。

樋浦 ゴールから考えると、目の前の数字が見えなくなることはないですか?

小泉 目の前の数字は、見ようと思わなくても入ってきますよ。わざわざスタッフに数字をエクセルでまとめてもらわなくても、必要な数字は頭に入っているくらいじゃないと、怖くて経営できない。

樋浦 僕も以前はすべての数字が頭に入っている自信がありましたが、最近肌感覚が減ってきた気がして、見える化を進めるとともに数字の感覚を取り戻そうとしていました。メルカリのように大きな組織になってもそこは変わってはいけないんですね。

小泉 必要な数字を頭に入れるのはもちろん、いらない情報を省いて、権限を移譲するなり、自分の頭と時間の使い方を見直す時期かもしれませんね。僕も、クオーター毎に、自分にしかできないことと、マネージャーに任せられることを定期的に見直しています。

トップと同じ目線で、将来のロードマップを描く

樋浦 READYFORはこれから、事業も多様化させたいと思っています。一つの事業を育ててきたところから、未知のゾーンへ行き、非連続な成長を遂げるために、経営者である自分もレベルアップをしないといけない。どう目線を上げていけばいいのでしょうか?

小泉 方法はいくつかあって、一つは、目指すサイズの会社の経営者かVCに壁打ちをしてもらう。

ベンチャーあるあるとして、トップの目線ばかりが上がって、No,2の目線が上がっていかず、ギャップが生まれることがあります。トップは人に会って、カンファレンスに参加して、刺激を受けて、視座が高くなる。一方、現場を見ているNo.2は現場に忙殺されトップの思考についていけなくなる。

これは双方に課題があって、トップはちゃんとNo.2に視座を上げる機会を与えないといけないし、No.2も積極的に外へ出ていかないといけない。

経営陣が同じように目線を上げていくということが大事。僕はNo.2である頃から、積極的に人に会い、カンファレンスにも登壇していました。

樋浦 今回がまさにそうですが、僕ももっと外へ出てインプットを増やしていかないと。

小泉 自分で目線を上げる方法としては、きちんと将来のことを考える時間を取る。目の前のことに忙殺されがちだけど、経営者は、将来のロードマップを描く時間を確保しないといけない。

樋浦 小泉さんは、どれくらい先のロードマップを描いていますか?

小泉 2030年をイメージしてロードマップを描いたことがあるけれど、現実的には3年が限界だと思います。その過程で、自分の業務や会社の内的要因だけでなく、テクノロジーの変化など外的要因も含めて考えないといけない。わからないこともわからないなりに考えて自分で視座を上げていく。

樋浦 その際、個人としてのOKR(Objectives and Key Results/目標と主要な結果)は立てていますか?

小泉 短期ではOKRを立てています。OKRは、会社と≒でマネジメントが必要なものと、僕個人がやりたいこと、大きく2つあります。個人のものは自分がバリューを発揮できて、楽しいと思える、未来への種蒔き。個人のOKRを考えられるようになったのは、ここ最近ですね。

樋浦 それはやっぱり、今を任せられる強いメンバーが増えてきたからですかね。

小泉 はい、任せて大丈夫だと信頼できるメンバーがいるからですね。

数字と経験値に裏打ちされた「直感」を研ぎ澄ませ

樋浦 今回のインタビューにおいても、お聞きした普段の業務においても、小泉さんの質問に対するレスポンスの早さに驚いています。僕は一つ一つの意思決定に時間をかけすぎているなと感じました。

小泉 人間は賢いので、時間をかけて考えてもだいたい最初の直感の決断に戻ってくるんですよ。説明責任を果たすために、直感を確信に変えるロジックを問うんだけど、その時間ははっきり言って無駄。スピード勝負のスタートアップが大企業に勝てない。

意思決定のロジックを組み立てる時間が無駄だと思うのは、直感を外したら経営者をやめるくらいの気持ちでいるから。それくらい「直感」を研ぎ澄ませたほうがいい。経営者が一番会社の数字に触れているし、会社のことを考えているんだから。

たとえば、日経新聞を初めて読む大学生は理解するのに3〜5時間かかる。でも、毎日読んでいる社会人は30分くらいで大体の内容を把握して、自分の意見も持てるようになる。同じように経営者も、日々会社の情報に触れて、ブレない判断軸を持って、いかに早くレスポンスをするか。トレーニングだと思います。

僕はメルカリの前にmixiでも取締役をしていて、10年以上、経営の経験を積んでいます。樋浦さんが初めて解くドリルを僕は過去に解いたことがある。シリアルアントレプレナーの強さは、一度経験しているので、ある程度トラップがわかること。経験値とトレーニングの差だと思います。

樋浦 経験値。たしかに、僕も権限を移譲したメンバーが悩んでいることを、瞬時に判断できるといったことはありますね。

小泉 それは、会社も樋浦さんも健全に成長している証だと思いますよ。

数字と経験値で裏打ちされた直感で判断して、もし違ったとしても、ほとんどのことは振り返りができるので、なんとかなります。前任者が決めたルールがあったとしても、変えられる。僕はめちゃくちゃ楽観主義なのでそんなに悩むことはない(笑)。そうじゃないとビジネスはできないですよ!

樋浦 いやあ、すべてがシンプルかつ本質的で、本当に勉強になりました。ありがとうございました!

text by 徳 瑠里香

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