「新しい時代をつくるのは辺境にいる人たち」石川善樹×米良はるか【後編】

「人がよりよく生きるとは何か(Well-being)」をテーマに、企業や大学と学際的研究に取り組む予防医学博士の石川善樹さん。前半では、医療(健康)研究分野におけるお金の課題についてお聞きしました。後半ではクラウドファンディングにチャレンジする人に必要な心構えについて伺います。

前編はこちらから。

クラウドファウンディングは顔が見える投資

米良 研究者は国からお金をもらうことが多いともいますが、それだとお金を出している人の顔が見えませんよね。

石川 まさにそうですね。ユニセフがお金を集められている理由は、自分が寄付したお金の流れ先が見えるからです。自分のお金が「何万人を支援しました」と聞いてもあまり実感はないけど、誰に届いたかわかると「お金を出してよかったな」と幸福度も上がるでしょう。

米良 クラウドファンディングでは、お金を受け取る側の幸福度も上がっていると思います。実行者から「勇気が出ました」「応援をもらってますますやる気が出ました」といった声が届いています。チャレンジする人にとっては、お金だけでなく、応援の声も大きな支えになっていると感じます。

石川 それは面白いですね! クラウドファンディングが今こんなに盛り上がっているのには、「分業化」が関係しているように思います。

米良 どういうことですか?

石川 これは感覚的な話ですが、現代社会ではゼロから何かをやり遂げる経験ってほとんどないと思うんですよね。高度に分業化が進んでいるので、自分の仕事も社会の一部でしかない。それゆえ、最初から最後まで、自分の意思で行動し、やり遂げるという貴重な経験ができるのが、クラウドファンディングの役割なのかもしれないなあと。

つまり、今までの自分は「歯車」でしかなかったけど、顔が見える人からお金という形で応援をいただいて、実行して報告する。この手触り感が今という時代にまさに求められているのかもしれませんね。

米良 分業化が進むと「自分でなくてもいいや、他の人でもできるだろう」と感じる人も増えてくる。だからこそクラウドファンディングの価値は、お金を得る手段はもちろん、自分にしかできないことを実行できる場としても活用してもらいたいですね。

対馬を旅して考えた「挑戦者の志」

石川 クラウドファンディングの話題で思い出しました。長崎・対馬に行った話をしてもいいですか?

米良 クラウドファンディングと対馬…どんな関係でしょう?(笑)

石川 先日、対馬に行ったんですが、その理由は『アンゴルモア 元寇合戦記』という漫画を読んで興味を持ったからなんです。

鎌倉時代、モンゴルが二度に渡って日本に攻めてきた時、彼らを迎え撃ったのが島主・宗氏率いる対馬の人々でした。蒙古軍3万3000人に対し対馬軍はたったの80人。戦いは7日間続いて、最後は篭城して粘ったものの対馬軍は敗れてしまいます。ところが、彼らが7日間耐えてくれたおかげで台風が来て、結果的に日本が勝った。もし対馬軍が戦わなければ日本はモンゴルに統治されて、全く違う歴史になっていたかもしれません。

なぜこの話をしたかというと、「たとえ負けると分かっていても、行動する覚悟が自分にあるか?」ということ。彼らは負けるとわかっていた、けれど戦った。なぜなら未来を見据えて「今ここで戦うこと」を決断したからです。

挑戦する人に必要なのは、このような志と、最後までやり遂げようとする覚悟なのかもしれない、と考えさせられました。

対馬には宗氏一族の墓があって、今も代々島の人に大事にされています。歴史に残ることってそういうことだなと対馬をめぐりながら実感しました。だから、もしクラウドファウンディングを考えていたら、ぜひ一度対馬に行くことをおすすめします(笑)

米良 クラウドファンディングは自分の旗を立てることに近いかもしれないですね。今は仕組みが進歩してチャレンジのハードルが下がっているし、起業家が注目されやすくなったのはチャンス。チャレンジしやすくなった時代だからこそ、本質が大事ですね。

石川 Readyforからも将来、対馬軍を率いた宗将軍のような人が生まれるかもしれませんね。何百年、千年も語り継がれるような人。

米良 自分が命をかけて行動する革命家、イノベーターですね。今のクラウドファンディングの仕組みが最適なのかはわからないけど、「自分のやりたいことを決めて行動する」体験はReadyforを通して実現できているかもしれません。その中から将来イノベーターが現れるかもしれないと思うとワクワクしますね。

ルールチェンジャーになる覚悟 

米良 石川さんが尊敬するロックフェラーも、既存の概念にとらわれず、物事の本質を根本から変えようとしたイノベーターですよね。もし彼が今の時代にいたら、どんな分野に注目すると思いますか?

石川 うーん。今だったら「Well-being(ウィルビーイング)」ですかね。医学が進歩していない時代に治療よりも予防に注目した人ですから、今ならさらに先を見据えて「人がよりよく生きる(Well-being)とは何か?」に取り組むと思います。そう思うからこそ僕は今、「Well-being」という学問分野を切り開こうと取り組んでいます。

米良 石川さんのお話を伺う中で改めて思ったのが、資金調達はあくまでもやりたいことを実現するための第一歩。その先に理想の未来を描けるか。これこそが本質的に求められる視点ですね。

石川 全くその通りだと思います!既存の仕組みやルールに不満を持っているだけではだめです。なぜその問題が起きているのか、自分なりの分析があって、「どう変えていきたいか」という志が大事。ルールチェンジャーになる志のある人を応援したいですね。

米良 お金の流れ方によって世の中の未来も決まってくる。国でも世界でも、投資を決めてく人の役割が大事になりますね。

石川 人は弱いもので、わかりやすいものや目先の問題、時代の流れに乗りたくなります。けれど、僕が信じていることがあります。それは「新しい時代をつくるのは辺境にいる人たちである」ということです。注目される分野は放っておいてもお金が集まるので、自分としてはそのような「辺境」にこそ注力したいと思っています。

text by 星久美子 photo by 土田凌

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