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音楽が楽しめる場を、文化にするために。日比谷音楽祭の実行委員長を務める亀田誠治さんが見出した、クラウドファンディングの価値

みんなでつくる音楽祭を目指し、クラウドファンディングによって、老若男女、誰もが音楽を楽しめる場をつくろうとしている人がいます。

音楽プロデューサー・ベーシストとして知られる亀田誠治さんです。

亀田さんは2019年に、フリーで誰もが参加できるボーダーレスな音楽祭として「日比谷音楽祭」を始めました。コンセプトに合わせて参加費無料を実現すべく、第一回から運営資金の一部をクラウドファンディングで補っています。

2020年に実施予定だった第二回の日比谷音楽祭では、より多くの人と一緒に音楽祭をつくるために、運営資金のうちクラウドファンディングが占める割合を大きくしようと準備を進めていました。このために、CAMPFIREとREADYFORの二社でクラウドファンディングを実施することに。

しかし、2020年の日比谷音楽祭は新型コロナウイルス感染症の影響で中止になってしまいます。亀田さんと日比谷音楽祭の事務局メンバーは悩んだ結果、実施予定だったREADYFORでのクラウドファンディングを中止にせず、掲げる目的をいち早く「スタッフ支援」に変更しました。

亀田さんが二社でプロジェクトを立ち上げるほど、イベント運営においてクラウドファンディングを重視している理由はどこにあるのでしょうか。

プロジェクトの企画からその後の反響をふりかえりながら、亀田さんが考えるクラウドファンディングの価値について話を聞きました。

クラウドファンディングで一緒につくり育てる音楽祭

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(オンラインで取材に応じる亀田誠治さん)

── 日比谷音楽祭をスタートされたのは、どんな理由があったのでしょうか?

音楽の素晴らしさを体験するきっかけを、ボーダーレスに、より多くの人に届けたいからです。

日比谷音楽祭はコンサートの座席代だけでなく、ワークショップやトークショーを全て無料で楽しめるイベントにしています。未来に音楽を残していくためには、こういった誰もが参加できる場が必要だと思いました。

── フリーにした理由はなんでしょうか。

日本には、世界に誇れる音楽フェスがたくさんあります。その多くが、すでに音楽好きな人たちがより深く音楽と向き合えるスタイルですよね。結果、フェスごとに対象の世代やジャンルが絞られる。それも素晴らしいのですが、逆の場をつくってみたかったんです。

言葉や世代、その他さまざまなボーダーを越え、あらゆるジャンルの音楽を誰もが無料で聴ける。東京の真ん中にある日比谷公園で、親・子・孫の3世代が一緒に楽しめる。そのようなハードルの低い場をつくることで、音楽に触れるきっかけを増やせるのではないかと考えました。

もちろん参加費を無料にするためには、幅広く資金を集める必要があります。去年と同様に今年も、日比谷音楽祭の運営資金として、行政の支援による助成金、企業からの協賛金、そしてクラウドファンディングの三本柱で運営する予定でした。

── なぜ今年もクラウドファンディングを実施しようと思ったのでしょうか?

2019年にクラウドファンディングに挑戦してみて、一般の方とともに音楽祭をつくれるこの方法に、日比谷音楽祭との共通点を見出したからです。

日比谷音楽祭が目指すのは、音楽が楽しめる場を「文化」として根付かせること。そのための一歩として、クラウドファンディングを通じてより多くの方に日比谷音楽祭を知っていただき、そしてこの場を一緒に育てていきたいと考えています。

クラウドファンディングを二社で実施した理由

── 一年前のクラウドファンディングでは「『日比谷音楽祭』制作プロジェクト」として、テーマを絞らずに音楽祭の運営資金を集めていらっしゃいましたね。

そうなんです。僕たちにとって初めてのクラウドファンディングは、自分たちで試行錯誤しながら企画もリターンも考えました。今年は去年よりさらに進化したプロジェクトにしたいと思い、業界最大手のCAMPFIREとREADYFORにご相談したんです。

── 同じイベントのために二社でプロジェクトを実施するケースは珍しいですが、どうして両方でクラウドファンディングをやろうと思ったのでしょうか?

将来的には、日比谷音楽祭の運営費の半分以上をクラウドファンディングでまかなえるようにしたいと考えています。そのためには、まず僕たちがもっとクラウドファンディングについて勉強する必要があると感じていました。

また、「ボーダーレス」を掲げている日比谷音楽祭では、協賛企業にも競合を排除しないでいただいています。ですからクラウドファンディングについても、ぜひCAMPFIREとREADYFORの二社が共存する形で実施できないかとご相談しました。

日比谷音楽祭の理念と、なぜ二社でクラウドファンディングを実施したいのか、それぞれの担当の方にお伝えしたところ、特例で両社が一緒にミーティングしてくださって。お金を循環させて社会に貢献しようという意志を共有できて、心強かったです。

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CAMPFIRE 応援団1000人と一緒に「日比谷音楽祭」動画配信チャンネルを作りみんなに届けたいは、2020年1月末から3月末まで実施。この期間中は日比谷音楽祭の中止が決まっていなかった)

プロジェクトを中止せず軌道修正できた、READYFORの後押し

── READYFORでプロジェクトを実施する前に、音楽祭の中止が決まりました。それでもスタッフ支援を掲げてスタートされたのは、どんな背景があったのでしょうか?

もともとREADYFORのキュレーターとは、音楽祭開催の雲行きが怪しくなってきた段階で、万が一中止になった場合のクラウドファンディングのあり方について、話し合いをしていたんです。

その後4月上旬に音楽祭の中止を決め、クラウドファンディングを取りやめにするのか、そうでないなら来年の開催に向けた支援を募るのか、それとも何か別に支援を必要としていることはあるか、案を出し合って考えました。そのなかで出たのが、スタッフ支援のアイデアです。でも正直、悩みました。開催しないイベントに対してお金の支援を募ることが、社会的に受け入れられるのか、不安があったんです。

それでも「自分たちは仕事を続けていけるのだろうか」と困っているスタッフたちの声を聞き、事務局のメンバーもREADYFORのキュレーターさんも「スタッフ支援でいきましょう」と提案してくださって、ようやく決断できました。

READYFORはコロナ禍でさまざまなプロジェクトを立ち上げ、変わりゆく情勢に素早く対応されていましたよね。今回のスタッフ支援に関しても、「READYFORのカラーに合いますね」と後押ししてくださったのが印象に残っています。

キュレーターの伴走、自分の言葉での発信で見えたゴール

── READYFORでのクラウドファンディングは、スタートしてからどんな道のりだったのでしょうか。

スタートしてから10日ほどで第一目標のゴールを達成できました。これが想像より早くて、エンターテインメントを支えるスタッフへの支援に、こんなにも多くの方が賛同してくださるんだな、と嬉しかったですね。

でもセカンドゴールまでの道のりが長くて、なかなか支援総額が上がらなかったんです。この時期は特に、毎日クラウドファンディングの支援総額を見ては一喜一憂していました。

── 亀田さんが支援を増やす上で大切にされていたことはなんでしょうか?

自分の言葉で協力をお願いすることです。プロジェクトが始まる前からREADYFORのキュレーターさんとのコミュニケーションの密度を濃くしてもらい、そのなかでSNSでの発信方法も相談しました。

発信の曜日や時間帯などの具体的な方法についてアドバイスをいただいたのと、自分の声を通じてプロジェクトを応援していただくために、SNSにメッセージ動画をアップするようにしたんです。

原稿を読み上げていては伝わらないので、しっかり伝わる言葉になるまで撮り直していました。ちょうどいいタイミングで後ろに飛行機が通り、ボツになることもあって(笑)。

音楽祭に出演予定だったアーティスト、また去年出演してくれたアーティストもシェアをしてくれて、最後の一日半で200万円が集まったときは鳥肌が立ちました。

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READYFOR 日比谷音楽祭2020|開催中止で仕事を失ったスタッフへサポートをより)

想いの乗ったお金を届けられたことに価値がある

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── 今回のクラウドファンディングを経て、どのような気づきがあったのでしょうか。

今まで分かっていたつもりでしたが、僕たちがスタッフに支えられているんだとあらためて実感しました。プロフェッショナルのスタッフが今回のコロナのような外的要因で業界から離れることは大きな損失になりますし、何より寂しいんです。でも実際に仕事が減り、厳しい状況が続いている。

そのようなときにスタッフ支援を掲げたクラウドファンディングに賛同してくれる方がいて、その方々の想いが込められたお金(スタッフ1人あたり約3万円)をお渡しできました。金額以上に「音楽はあなた方スタッフに支えられています」とメッセージを届けられたことに価値があると思います。

── クラウドファンディングの目標に達成してから、どのような反響がありましたか?

僕たちが動き出してから、スタッフのサポートについて言及するアーティストが増えたように感じます。誰かが上げた声が広がっていく点にも、クラウドファンディングの可能性を感じますね。

誰が先にアクションをおこすかは重要ではなくて、もし自分が先駆者になったら、それをきっかけにみんなのアクションが増えていくことを素直に喜びたい、と思っていました。ですからこのような動きが出てきて僕も嬉しいですし、日比谷音楽祭から音楽を楽しむ文化を広げられるように、来年以降もクラウドファンディングにチャレンジしていきたいです。

***

今回の日比谷音楽祭に関するクラウドファンディングをはじめ、READYFORではコロナ禍で困っている人を応援するためのプロジェクトを数多く立ち上げています。

もしREADYFORで何かできることがあるか検討されている方がいらしたら、ぜひお気軽にご連絡ください。READYFORだからこそできるお手伝いを実現できたら嬉しいです。

亀田誠治さん
1964年生まれ。音楽プロデューサー・ベーシスト。これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツなど数多くのプロデュース、アレンジを手がける。第49回、第57回の日本レコード大賞では編曲賞を受賞。音楽教養番組『亀田音楽専門学校(Eテレ)』などを通じて次世代へ音楽を伝えている。2019年に世界に挑む若手音楽家とアスリートや彼らを支え育成に努めるコーチ、その発展・改革に挑むリーダーに贈られる 「第2回服部真二音楽賞」を受賞。
text by 菊池百合子 edit by 徳 瑠里香 トップ写真提供:日比谷音楽祭

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