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withコロナ時代における企業の災害支援のあり方とは?JT×アサヒのサステナビリティ戦略

10年前の東日本大震災以降、より注目が高まり広がってきた企業による災害支援。新型コロナウイルス感染症の流行によって社会のあり方が変わり、合わせて災害支援のかたちも変化を余儀なくされています。

2月10日、READYFORは「withコロナ時代における企業の災害支援のあり方」と題してオンラインイベントを実施。

アサヒグループホールディングス株式会社の染谷 真央氏、日本たばこ産業株式会社(JT)の濱田 尚氏をお招きし、具体的な取り組みを交えて同社のサステナビリティ(CSR)戦略についてお話をうかがいました。

広い視点で深く考え、長く続ける。JTの災害支援

三倉 信人(以下、三倉): 本日は日本のサステナビリティのトップランナーであるJT様、アサヒグループ様より、災害支援の考え方や取り組みについてお話いただきます。

最初にJT様のお取組についてご紹介いただけますか。

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三倉 信人(READYFOR株式会社 法人事業部長)
ソフトバンクグループで営業・社長室・経営企画・新規事業開発を歴任。独立後、複数のベンチャー・地方企業の経営に携わる。READYFORでは法人事業責任者として、企業のサステナビリティ活動に係る支援の企画や連携推進を担当。

濱田 尚(以下、濱田): はい。まず昨今、SDGsやESG投資といった言葉が浸透してきております。そうした社会の中で、社会課題と事業課題をともに満たす活動が企業に求められてきている、と感じています。

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濱田 尚氏(日本たばこ産業株式会社 サステナビリティマネジメント部 コミュニティインベストチーム)
大手広告代理店にてプロデュース業を経たのち、日本たばこ産業株式会社にて現職。被災地の緊急支援、復旧・復興支援や国内外の防災・減災領域の支援を主に担当。現在は、JTグループのサステナビリティマネジメントの一環としてのコミュニティインベストメントを推進。

私たちは、経営理念である「4Sモデル」に基づき、社会とともに持続的に成長していくための優先的に取り組む22のマテリアリティ(重要課題)の特定を踏まえて、サステナビリティ戦略を策定しています。

サステナビリティ戦略では、グループ共通の「人権の尊重」「環境負荷の軽減と社会的責任の発揮」「良質なガバナンスと事業規範の実行」を基盤に、各事業における注力する分野を決めています。

いわゆるCSRと言われる概念・活動から、一歩進んで、事業の持続性、地球の未来、そして私たちが暮らす社会について考え、ともに持続的な成長をしたいと考えています。

災害支援については、「緊急支援」「災害に対する備え」「復興支援」と、大きく3つの分野の支援に取り組んでいます。

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「緊急支援」については、災害時に義援金や食料などの支援が円滑にできるよう、災害規模や被害に合わせて拠出する金額の目安を定める独自のガイドラインを策定。発生時に初めて考えだすのではなく、ガイドラインに沿って必要な物資や資金が迅速に前線に届く体制を整えています。

次に、「災害に対する備え」では、一例として災害下にいる人びとの支援活動を行う国際協力NGOピースウィンズ・ジャパンさんに対して、災害時のみならず平時のトレーニングから支援を続けています。

災害発生時に我々がすぐに現場に行くことは難しく、できることも限られてしまうため、真っ先に向かうトレーニングを積んだプロフェッショナルにお任せするべき、という想いを、災害発生前からの支援としてかたちにしました。

そして、「復興支援」について。東日本大震災の復興支援として様々な活動を実施させていただいてきましたが、現在は、震災の経験を知恵に変えるような「伝承活動」への支援を行っています。

ソフト面の活動は、ハード面の活動に比べて国や行政から支援を受けにくい領域であり、そういった領域を補完していくことは、共助の一つのかたちであると考えます。

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またコロナ禍の支援では、「想いは、人を、ひとりにしない」を理念に掲げ、居場所を失った方への支援、飲食店への支援、文化的な支援を検討、実施してきました。

これまでは支援を行う「災害」は災害対策基本法をもとに定義しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、感染症等の流行に準ずる被害も災害として自社の災害支援のガイドラインに含める改訂をしました。

変化の大きな時代だからこそ、柔軟性がより問われていると感じています。

最後に、コロナ禍を経て、社会が分散化・内向化・不寛容化していることを強く危惧しています。他方、災害支援のみならず、従来の効率化といった狭く浅く短い視点で行われてきたことが、これからは、広い視点を持って、深く考え、長く続けられるやり方を見つけていく持続可能性がより求められてきます。

このような社会でどうすべきか。私は、行動するときの主語を「私」ではなく「私たち」にしていくべきだと捉えています。そして災害支援こそまさに「私たち」で取り組むべきと考えています。企業やNPOなどの皆様と一緒に考え、補完し合うような取り組みにしていければと思っています。

事業活動、地域コミュニティを維持するために必要な災害支援

三倉: 詳細に大変ありがとうございます。続いてアサヒグループ様のお取組についてご紹介をお願いいたします。

染谷 真央(以下、染谷): 本日はよろしくお願いいたします。

アサヒグループは、国内のビールメーカーというイメージをお持ちの方も多いと思うのですが、近年国際事業の拡大が進み、売上に占める国際事業の構成比が3割、外国人の従業員数が半数に上ります。

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染谷 真央氏(アサヒグループホールディングス株式会社 事業企画部 サステナビリティグループ)
アサヒビール(株)へ入社後、営業・生活者研究等に携わり、2018年より現職に従事。これまで次世代教育、農業支援、災害緊急支援、復興支援を担当し、アサヒグループ国内事業におけるサステナビリティ推進活動に取り組んでいる。

こうしたグローバルでの挑戦は、私たちのサステナビリティ戦略に大きく影響を及ぼしています。2019年、企業価値を持続的に高めていくための新たなグループ理念「Asahi Group Philosophy」を掲げました。

その中で「事業を通じた持続可能な社会の貢献」を社会との約束事に、サステナビリティの重点領域として、「健康」「責任ある飲酒」「環境」「人」「コミュニティ」の5つを設定しています。

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私たちの災害支援活動は、災害後すぐに活動するものと中長期的に事業を通じて復興を応援するもの、2つのステージに分かれています。

災害後の緊急支援では、自社のガイドラインと照らし合わせながら、被災地域の支援ニーズの把握を重視。全国各地にある事業会社や支援団体、行政とも連携し支援活動を行います。

提供する物資は、飲料水やお茶だけでなく、被災地の状況に応じてベビーフード、粉ミルク、衛生用品、さらに寒い時期であればフリーズドライの味噌汁等。日頃から行政と関係を構築し、備蓄体制の整備にも協力しています。

コロナ禍では、子どもたちの居場所を守るために、子ども食堂や児童館等の施設への寄付、医療従事者への物資の支援、困窮する一人親家庭への食料支援等を継続して実施。さらにアルコールメーカーとしての技術を活用し、消毒液に利用可能な高濃度エタノールを製造して医療機関へ無償提供したり、茨城県木内酒造が行っていたビールを使って消毒用エタノールを作る取り組みにビールを寄付したりしました。

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中長期的な取り組みでは、風化させないための情報発信が、企業ができる大きな役割であると感じています。

私たちは、宮城県東松島市で津波の被害にあった土地を活用し、アサヒの知見を活かし大麦を育てる「希望の大麦プロジェクト」を実施しました。育てた麦を利用し多くの商品が生まれ、売上の一部は復興支援活動に使われています。このように、社会の一員として継続した取り組みが重要だと考えています。

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災害支援活動は、我が社のサステナビリティの重点領域の一つ、「コミュニティ」において、非常に重要な位置付けとなります。地域コミュニティ自体が健全でないと、事業活動も持続可能なものではなくなってしまいますから。

地域で暮らす方々が、当たり前の生活を維持し、明日に向かって頑張ろうと前向きな気持ちを持ち続けられる社会の実現させる。そして、これらの取り組みは1社単独で実現できることではなく、多くの企業や行政とのパートナーシップが必要だと感じています。

各社の強みを活かしながら、迅速で効果的な災害支援が問われる時代

三倉: ありがとうございます。JT様もアサヒ様も、大規模な災害が発生したときに迅速な支援が行えるガイドラインや体制作りを行っている点が印象的です。とはいえ、この1年、コロナ禍ではこれまで当たり前だった災害支援活動が行えなくなったという変化もあるのではないでしょうか?

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染谷: たしかに環境は大きく変わっています。その一つが社員のボランティア活動です。従来のように遠隔から被災地に出向くことが難しくなったため、在宅でも社員が協力できるようなボランティアを募集したり、被災地周辺の社員が現地に出向けるような制度を会社の中で提供したりするなど、新しいかたちを検討中です。

その一例が、READYFORさんが昨年立ち上げたコロナ基金への従業員マッチング制度です。コロナ基金へ寄付した当社の従業員の金額と同額をアサヒが拠出。コロナ禍で「何かできることはないか」と思っていた社員も多く、支援を自分事として考えるきっかけをつくれたかと思います。

濱田: 私はコロナ禍で、事業課題や社会課題など、さまざまな問題が5年、10年早く発露したと感じています。

自社だけではどうすることもできない問題がある中で、自分たちが持っている強みやリソースで「できることはなにか」を考えました。個々の得意領域を活かし、ときには連携していくことが、コロナ禍のような災害支援では求められると感じています。

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三倉: たしかに、コロナ禍ではボランティア活動や支援のあり方自体が、変わらざるを得なくなっています。

READYFORでは、1月19日に赤い羽根の共同募金を行う社会福祉法人中央共同募金会様と連携し、「READYFOR×ボラサポ災害支援基金」を立ち上げました。これは、一定規模の災害が発生したときに、迅速に基金を立ち上る災害支援の新たな取り組みです。

ボラサポ災害支援基金は、被災家屋の復旧に関する専門技術を用いた支援および避難所の運営支援などを行う「災害支援専門非営利団体」の活動に対して、最短10日程度で支援金を助成。

同時に、従業員マッチングや、ユーザーからの寄付、広報協力など、各企業の支援ニーズに合わせたメニューを提供する「災害支援パートナー企業制度」を立ち上げ、第一弾参画企業として、アサヒ様、JT様を含む10社にご協力いただいています。

特に従業員寄付サービスでは、コロナ禍のように在宅勤務中心であっても、パソコンやスマートフォンを通じて迅速な社員参加型の支援活動が可能になります。1000円から簡単に募金ができ、寄付の金額を事務局側で集計できるので、アサヒさんにも取り組んでいただいた会社が同額を拠出するマッチング制度にも対応。READYFORの知見を活かしながら、スピーディーで透明性の高い助成配分を行います。

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濱田: こうしたオープンプラットフォームで、寄付したお金の使い道が見えるのは、支援活動に参加する従業員のモチベーションにもつながるのではないかと思います。

従業員の支援活動への巻き込み方や、災害支援ガイドライン作成のポイントは?

三倉: 最後に、お時間の許す限り参加者の方からのご質問にもお答えいただきたいと思います。

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従業員の支援活動への巻き込みで重視している点や工夫について伺いたいとのこと。染谷さん、いかがでしょうか?

染谷: 私たちが苦労した点でいうと、伝達のための情報発信です。READYFORのような外部プラットフォームを活用した寄付の呼びかけは初めてでしたので、従業員に対して、社内ポータルサイトの掲載や人事部からのメルマガを通じて地道な発信を続けました。

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三倉: 続いて、災害支援を行う基準を決める考え方についてご質問いただいていますが、こちらは濱田さん、いかがでしょうか?

濱田: まず、会社として災害をどう定義するか、事前に目線合わせておくことがポイントになると思います。

例えば災害発生時、被災地に近い支社支店が一番状況を把握しているにもかかわらず、東京本社に判断を仰いでいたら、いつまでも支援活動をスタートできません。そのため、事前にある程度の決めごとをガイドラインとして策定し、「災害」としての認定や、その後の対応の一時判断をしやすくする、ということをしております。

加えて当社では、現地の災害状況の把握として、政府のオープン情報を確認しつつ、支援団体とコンタクトをとり、被災地にどんな支援が必要かをヒアリングすることで、支援の内容について参考にするようしております。

三倉: 濱田さん、染谷さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

コロナSOS基金のご紹介

READYFORでは昨年のコロナ基金に引き続き、長期化するコロナ禍において困窮家庭の支援や医療従事者のメンタルケアを行う団体への助成を目的とした「新型コロナウイルス感染症:いのちとこころを守るSOS基金」(コロナSOS基金)にて寄付を募集しています。

民間企業の各社様と連携しつつ、スピーディーな支援を届けていきます。ご支援、どうかよろしくお願いします。

READYFOR 法人事業のご紹介

「READYFOR.Biz」では、過去1.5万件以上のクラウドファンディングサポートから得たネットワーク・ノウハウを活用し、企業様の寄付活動・SDGs推進をサポートしております。

企業がパートナーシップを組む際の安心・安全な団体のご紹介や、オンラインから気軽に参加できる従業員寄付、マッチングギフト、事業者ポイントを活用した寄付など、様々な寄付のかたちをご支援します。

ぜひコラボレーションにご興味お持ちの方は、お問い合わせくださいませ。

 text by サトウカエデ  edit by 徳 瑠里香


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