たくさんの応援の声に後押しされて、自分の研究に没頭できる。医療研究クラウドファンディングの魅力とは
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たくさんの応援の声に後押しされて、自分の研究に没頭できる。医療研究クラウドファンディングの魅力とは

READYFOR note

2018年頃から、医療系クラウドファンディングのプロジェクトが世に出始めて早4年。その勢いは、年を追うごとに加速しています。

これまで、約20億円を超える「想いが乗ったお金」が、医療分野に流れています。

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街の病院などの医療機関が改修費や運営費等を募るプロジェクトに加え、大学による医療研究クラウドファンディングの総額も5億円を超えました。

なぜ、これほどまでに医療研究のクラウドファンディングが盛り上がりを見せているのか。

2021年にREADYFORで、プロジェクトを実施した東京医科歯科大学摂食嚥下リハビリテーション学分野教授の戸原玄先生と、ともに研究を進める同大学院生の山田大志さんに、研究クラウドファンディングの魅力を伺いました。

おふたりは声を出せなくなってしまった方の新たなコミュニケーションツールとして「Voice Retriever(ボイス レトリーバー)」の開発を進めており、その実証研究に必要な資金をクラウドファンディングで募集しました。

聞き手:市川衛(READYFOR 基金室室長)

科研費に採択されずとも、諦めなかった研究

── まず、Voice Retrieverの開発費用をクラウドファンディングで募ろうと思われた経緯からお話しいただけますか?

戸原玄先生(以下、敬称略): もともと、Voice Retrieverの開発を目的に、さまざまな科研費に申請をしていました。しかし残念なことに、全て落ちてしまいまして。どのように資金調達を行うかを考えていた中で、つながりのあったREADYFORの市川さんにご相談をさせていただいたのが経緯になります。

── たしか私がFACEBOOK上でシェアした別のプロジェクト事例の投稿をご覧いただいて、お声かけてくださったんですよね。山田さんはクラウドファンディングを実施しようと戸原先生に言われたとき、どう思われました?

山田大志さん(以下、敬称略): 以前、Twitterで多くの反響を得たVoice Retrieverの動画があったんです。その反応から世間のみなさまからご期待いただいていることがわかった。一方で、科研費などの競争的資金がなかなか得られない現実がありました。その際、もし研究費に採択されなかったら、クラウドファンディングで資金調達をするのもいいかもしれない、という話も出ていたんです。そうした前置きもあって、最終的に世間に訴えてみようと問いかけたのはむしろ僕だったと思います。


── なるほど。そもそも世間に向けて動画を発信していこうと思われたのは、山田さんだったのでしょうか?

山田: そうですね。クラウドファンディングを見越して、というわけではなく、単純に医局の広報活動の一つとして動画を公開したんです。そこまで深い考えや計画があったわけではなかったので、反響に驚きました。

覚悟を決め、公開前から動いた結果、多くの方が協力してくれた

── プロジェクトを実施するにあたっては、公開される前の準備が重要で、スタート時点でどれだけの寄付が集まるかが、その後の伸びを決めることにもなります。弊社キュレーターからもいろいろご提案させていただいたかと思いますが、実際におふたりはどのような準備をされましたか?

戸原: 公開前は、応援してくれそうな方の連絡先をあらかた調べて、公開と同時に直接自分から連絡できるように準備をしました。寄付してくださる方だけでなく、取り上げていただける可能性があるメディアの方も昔の記憶をたどって、リストにまとめていきました。

そのうえで、初速を出すために、ご支援のお願いメールを何百通も送りました。公開当日に、500通近く送ったかもしれないですね。本当に恥ずかしがらずに、ありとあらゆる人に連絡しました。

──プロジェクトへの強い意気込みを感じます。でも、嫌じゃなかったですか?

戸原: それはもう、やるしかないなと思って。

──すごい覚悟だったのですね。メディアの方への声かけもされたとのことでしたが、実際取り上げてくれたメディアもあったのでしょうか?

戸原: はい。一番早かったのが全国紙の新聞社さまで、プロジェクトを公開してから数日後に取り上げてくれました。

── 反響はどうでしたか?

戸原: 反響はやはり大きかったです。プロジェクト終盤で別の新聞社さまにも取り上げていただきました。

── 全国紙に取り上げられるコツはあったのでしょうか?

戸原: ひたすらお願いしただけですね。すぐ取り上げていただけなくても、プロジェクトがだんだん進んで支援者が増えていったときに進捗をお知らせする意味で、再度お願いしたときに話を聞いてくださったこともありました。

── 粘り強いですね。山田さんはどんな準備をなさっていました?

山田: READYFORには、プロジェクト公開後に情報を更新できる「新着情報」というブログのような機能があるのですが、そこで公開する記事を準備していました。あとは、実際にその時点でVoice Retrieverを使ってる患者さんに、プロジェクト公開中に、こういうふうに広報してほしいとアプローチをしていました。

──プロジェクトの「新着情報」を76回更新されていますよね。ほぼ毎日とは言わないまでも、少なくとも2日に1度は更新している勢いだと思うのですが、大変じゃなかったですか?

戸原: 大変でしたが、途中から完全に日課になってしまいました(笑)。ご支援をいただいた方に、「どこまで研究が進んでいるか」をしっかりとご報告するために、より伝わりやすい手段として、動画の投稿が多かったです。

── 特に、歌手の方にVoice Retrieverを使って歌っていただいた投稿が印象的でした。この歌手の方はどのように巻き込まれたのですか?

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戸原: この方はですね、御茶ノ水の近くにイーエスピーさんっていうエレキギター屋さんがあって、そこのおつながりでご協力いただきました。

多くの方が、自分の研究のかけがえのない仲間になってくれた

── クラウドファンディングは研究費、お金が集まることに注目が集まりやすいのですが、それ以外にも、「多くの方々が研究の仲間になる」ことも大きな魅力の一つだと言われています。戸原先生と山田さんの研究がクラウドファンディングを通じて多くの人を巻き込んで広がっていく感覚はありましたか?

戸原: ありましたね。普段仕事をしているだけだと、医療・介護関係のお知り合いはできるのですが、音楽関係のお知り合いなどはそうそうできるわけではありません。エレキギターメーカーやブランド、歌手、ギタリストの方や、玩具メーカーの方など、普通に大学で仕事をしてるだけだと知り合えないような人たちとつながりができて、ご協力いただけた点は、本当にやってよかったと思います。

── 山田さんはいかがでしたか?

山田: お金が集まったこと以上に仲間が集まったという感じがとても嬉しかったです。それから実際に顔を合わせなくても、毎日ご支援をいただいた方から応援のコメントをいただいて、自分たちの活動を、ちゃんと見てくださっているのだなという感覚が持てて、充実した日々でした。

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── 先生方は日頃から臨床の現場で患者さんと接していらっしゃると思うのですが、それでもこのような応援コメントは嬉しかったのでしょうか?

戸原: そりゃ嬉しいですよね。何百人の方から「がんばって」と言っていただいたのは生まれて初めての経験でした。クラウドファンディング開始当初は、お金が集まるのかだけでなく、自分のやってる研究が上手くいくかどうかも、ちょっとは不安になるものです。でも何百人もの人からから応援いただけると、研究に対する気持ちも強くなっていきました。「これはやるしかない」と。

── たしかにこれだけ多くの人に応援されることってなかなかないですよね。

戸原: ないない。たぶん一生のうち、もうないと思いますよ。きっと最初で最後です。

── おふたりの中でもらったコメントで嬉しかった、もしくは印象に残っているものってありますか?

戸原: やはり患者さんやそのご家族からのコメントですかね。患者さんのご家族で、本人はもう亡くなってしまったけれど、生きてるときにVoice Retrieverがあればよかったのに、と。そういうコメントはずっと心に残っていますね。

── なるほど。山田さんはいかがです?

山田: 患者さんからのコメントも、もちろんそうなのですが、たとえば高校の時の同期とか結構古い知り合いがFacebook経由で見てくれて、特に告知していなかったのにもかかわらず、支援してもらえたのもすごく感動しました。

── おふたりとも貴重なお話をありがとうございました!

ただお金が集まるだけではなく、たくさんの応援の声を受け取って研究に没頭できる手段として、クラウドファンディングは多くの研究者の先生方から、ご注目をいただいております。

たくさんの想いの乗ったお金の流れが、未来をつくる。

その一端を、戸原先生のクラウドファンディングから垣間見ることができました。

ご興味をお持ちいただけた方は、お気軽にREADYFOR医療チームにご相談ください。


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