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丁寧なコミュニケーションの積み重ねが、継続寄付の支援者と長くて深い関係性を育む

READYFOR note

「マンスリーサポーターは、直接利用してくださる方の後ろにある第3の目のような、自分たちの活動を後押ししてくれる大切な存在です。継続寄付を通じて託してくれた想いが、横須賀の子育て支援につながっています」

そう語るのは、横須賀市で親子サロン『mam&kids salon 結-Yui-』を運営する株式会社LINK代表・永井由美さん。「子育て」を「孤育て」にしないというコンセプトのもと生まれた「結-Yui-」は、室内遊び、親子カフェ、託児所が一体となった子連れで安心して過ごせる親子のためのサードプレイスです。

永井さんは2018年11月に「結-Yui-」をオープンし、2021年11月より継続寄付のマンスリーサポーター制度を導入しました。法人・個人含め、少しずつサポーターの輪が広がり、導入1年で解約はゼロ。それぞれの想いを応援に変える手段となっているといいます。

3児の母親でもある永井さん。事業をはじめたきっかけから、マンスリーサポーターとの関係性の構築、企業へのアプローチ方法まで、お話を伺いました。

「一番しんどい時期のママの受け皿をつくりたい」

──そもそも、「親子のためのサードプレイス」をつくろうと思ったきっかけはなんだったのでしょう。

私自身が、もっとフラットに、親子で関わって自然と友だちができるような場所がほしいと思ったんです。3人の子どもがいるのですが、末っ子が生まれてから、少し寂しがっていた長女に「ふたりで一緒に過ごす時間をつくろう」と提案したことがあって。そのとき、長女はキッズスペースがあって親子イベントが開催されるお気に入りのカフェに行きたいと言ったんですね。ところが、久しぶりに訪ねるとキッズスペースがなくなっていて。私が暮らす横須賀市は空地も空き家も増えているのに、子どもの居場所はどんどん減っている。その事実にがっかりしました。

その後、ボーネルンド社が運営する親子の遊び場「キドキド」に行った際、「これだ!」と閃きました。キドキドを小さくしたような楽しい遊び場に、ゆっくりコーヒーが飲めるカフェがあったら素敵だなって。そこからは「親子のためのサードプレイス」をつくることで頭がいっぱいになりました。2016年のことです。

──その閃きから2年後に親子のためのサードプレイス「結-Yui」をオープンされた。すごい行動力だと思います。何が永井さんをそこまで突き動かしたのでしょう。

孤独を感じやすい大変な子育ての当事者でいる期間は結構短くて、喉元を過ぎるとみんな忘れちゃうんですよね。「2〜3年がんばれれば自分の時間ができるよ〜」と言われがち。でも、私はその一番しんどいときのママの受け皿になれる場所があるといいなと強く想うんです。その気持ちがそのまま行動につながっているんだと思います。

私自身、1人目、2人目のときは付きっきりでお世話が必要な乳児期のつらさもあったし、キャリアにも悩みました。でも3人目を産んでいなかったら「今だけだからがんばって」と言ってしまったかもしれません。意思疎通もままらない幼い子どもと過ごす生後2〜3年の期間がしんどいことを経験したにもかかわらず。

だから「結-Yui」は、母親が心からほしいと願う施設を目指しました。「見守り型保育付き遊び場+親子カフェ+託児所」という、現役子育てスタッフが「あったらいいな」と思う機能を詰め込んでいます。

個人と法人と、長い目でより深い関係性が築ける継続寄付

──そうした想いを持って、2018年11月にオープンして約1年後、コロナ禍が始まりましたよね。

そうなんです。オープンして1年、利用者も増え知名度も上がってきた時期にコロナでがくんと落ち込みました。突然の学校休校に、「結-Yui」も空けられず、会社の通帳残高はどんどんマイナスに。政府からの自粛要請もあり、完全予約制で細々と運営していました。

もともとの営業時間も短かったので政府からの協力金もなければ、補助金や助成金も入ってこない。ただありがたいことに、さまざまな方から運営に役立ててほしいとマスクや消毒液の物品や資金の寄付をいただきまして。それでも、経営的には厳しい状況が続いていました。そんなとき、READYFORさんから継続寄付のサービスを提案いただいたんです。

──そして2021年11月から継続寄付のマンスリーサポーターの制度を始められた。永井さんは、「結 -Yui-」の立ち上げ際にもREADYFORのクラウドファンディングを利用されていましたよね。

はい、立ち上げ時は事業経験もなかったため、資金調達に苦戦しました。銀行の方は理解してくれるものの、親子サロンの需要が世間にあるのか半信半疑。そこでREADYFORで不足する資金を募るクラウドファンディングを実施したところ、キュレーターの方の心強い伴走もあって、100万円という目標金額を13日で達成。その結果が銀行の融資にもつながり、施設をオープンできました。

継続寄付を始めるときも、立ち上げ時にREADYFORの方々に手厚くサポートいただいたので、不安はなかったですね。

──単発のクラウドファンディングと継続寄付では、支援者との関係性など、違いを感じますか?

どちらも団体を応援する手段であることに変わりはありませんが、単発ではない継続寄付のほうが長い目でより深い関係性を築けると感じています。

2022年11月8日現在、23名(うち4つの法人)にマンスリーサポーターとして支援いただいています。

個人のサポーターのなかには、現在のユーザーの方はもちろん、過去に施設を利用していた方もいらっしゃいます。お子さんが小学校に入学して対象年齢を外れたり、ご自身が仕事を始めて利用しなくなったりと、それぞれの理由で離れてはいるけれど、次の世代のママたちにも「結-Yui」が続いてほしいと応援してくださるんです。応援したい団体を長く支えていける方法の一つが、継続寄付なのだと思います。

関係性を育む鍵は、丁寧なコミュニケーションの積み重ね

──より密な関係ということですね。継続寄付を支援してくださる法人とは、どのような形で接点をつくるのでしょうか。

はじめは、立ち上げ時のクラウドファンディングで寄付をくださった企業にアプローチをしました。

「結-Yui」に営業に来る企業の方もいますので、何かあればお話できるように、A4一枚のチラシと、より詳細な内容が載った冊子を常に持ち歩いています。チラシは表面に施設のコンセプトや写真などの紹介を載せ、裏面にREADYFORでの継続寄付の登録方法を記載しています。チラシで興味を示してくださった方には、冊子でさらに詳細をお伝えします。

スタッフが全員お母さんであることや、女性の社会復帰を後押ししていること。多くの方からの寄付で成り立っていて、寄付を通じて間接的に横須賀の子育て支援に携われるという点をお話します。

それから、法人にとってメリットとなる点も盛り込んでいます。CSR活動の一環や広告としての宣伝効果が期待できること。法人サポーターの従業員も、親子サロン・託児サービスの10%割引を受けられますので会社の福利厚生としても活用可能です。ほかにも、ウェブサイトへの社名の掲載、条件つきでイベントスペースの無料利用といった特典がついてきます。

──具体的に、どのような企業がマンスリーサポーターになっていますか?

マンスリーサポーターである企業さんは、飛び込みでうちに営業に来たのをきっかけに話が進みました。当初、チラシを置かせてくださいとのことでしたので、継続寄付のマンスリーサポーターになっていただければもっとメリットがあるとお話したところ、エリアマネージャーにつないでいただき、すぐに寄付が決まりました。今後はイベントスペースを活用した食育や保険のセミナー、それから働きたい女性へのリクルートなどの話が進んでいます。

それから継続寄付でのサポートにはならなかったのですが、私たちの活動に共感して別のかたちで支援してくださるケースもあります。

たとえばある企業さんは、月に1回、イベントスペースを活用するかたちで私たちの活動を応援してくださっています。毎月の定期開催で、まとまった時間ご利用いただいていますので、実質的には継続寄付と同じようなものです。

その企業さんは、もともと地域の担当者の方が私たちの活動を気に入ってくださり、マンスリーサポーターの検討もされたのですが予算の都合で実現しませんでした。しかし、本部の方にもつないでいただき、結果として継続寄付は難しいけれど、別のかたちで応援したいとイベント開催につながりました。イベントでは、参加した方と企業さん双方から好評の声をいただいています。

法人のマンスリーサポーターが増えれば、他の企業の目に留まる機会も増えるかもしれません。継続寄付をふくめ、Win-Winな関係性を築いていきたいです。

──継続寄付を始めて1年が経った今も、マンスリーサポーターの解約はゼロとのこと。コミュニケーションなど、意識していることがあれば、教えてください。

ユーザーであるサポーターの方には、ご来店時にスタッフから「いつもありがとうございます」とお礼を伝えています。いまはコロナの関係で、基本的にご予約して来店される方が多く、事前予約があるとお名前でサポーターであるとわかるので、私からスタッフに共有します。

それから、Instagramで個別にお礼を伝えることも多いです。サポーターが20人に達した報告をしたところ、今はお子さんが保育園に行かれている元ユーザーの方から「おめでとうございます」とメッセージをいただきました。一番最初にマンスリーサポーターの登録をいただいた方にお礼のメールを送ったところ、温かい返信をいただき、号泣したこともありましたね。

──丁寧なコミュニケーションの積み重ねがあってこその関係性なのですね。

うちのスタッフは、利用者の方に対して距離感の取り方が上手なのかなと思います。16人のスタッフ全員、子育ての当事者です。毎日接客をしながらも、いろいろな事情をそれぞれが抱えています。それは「結-Yui」を訪れる方にも、同じことがいえると思います。

パートナーと喧嘩して落ち込んだり、お子さんにどうしようもなくイライラしてしまったり。たとえ悩み抱えていても、外にいるときは基本的には表に出しませんよね。でも施設に通っていると、ふとつらさが零れ落ちてしまう瞬間があります。そのときは、スタッフが全力で寄り添います。否定せず余計な声掛けもせず、ただ「よくやってますよ」とギュって抱きしめたり。

私たちのコンセプトの根幹は、親を支えること。素敵な遊具があり子どもたちが楽しく遊べる施設でありながら、私たちが目指すのはママたちパパたちが安心できる場所です。全力で寄り添う姿勢をスタッフ全員が貫いているのが、じわりじわりと浸透してきたと思っています。

想いに共感し応援してくれる人の数を増やしたい

──寄り添ってもらえた、安心できたという気持ちが、いろんな人たちの心に残って寄付につながっているのかもしれませんね。継続寄付を導入してみて、改めて感じることがあれば教えてください。

資金的に支えてもらえるのは、本当にありがたいことです。寄付が集まるたびスタッフのモチベーションもすごく上がります。サポーターの方々の後押しが、自分たちの活動が間違っていないという気持ちにつながるんです。

経営者としては、寄付金が集まるほど、この場所を守らなければと、いい意味でプレッシャーが増しますね。ユーザーの後ろにサポーターの方々がいると思うと、大きな責任を感じます。

──最後に、READYFORの継続寄付を今後どのように活用していきたいか、お聞かせいただけますか。

年内の目標は、マンスリーサポーター30人です。ただ数を増やしたいというよりは、「結 -Yui-」のコンセプトに共感して応援したいと思ってくださる方を増やしたいです。私たちの取り組みと想いを理解し、応援してくれるサポーターの方々と、より良い関係を築きたいですね。

少し大きな話になりますが、個人的には、子どもに投資をしないと地域の未来はないと感じています。横須賀市はポテンシャルは高いものの、企業数は多いとはいえませんし、市の財政に余裕がなく、公共施設で良いものをつくるのが難しくなっています。税金に頼れないなかでどうするのかは難しい問題ですが、「子育ては楽しい」と前向きに思える何かがないと、少子化がどんどん進んでしまいますよね。

「結-Yui」は小さな施設ですが、だからこそいろんな取り組みをしています。継続寄付もその一つです。来年は5周年ということもあり、状況が許せばサポーターの方々と一緒にイベント開催もしたいですね。寄付をしてよかったと思えるような取り組みを、続けていきたいです。

永井 由美(mam&kids salon 結-Yui-代表)
お家でも公共施設でもない、親子ための新しいカタチの居場所 『親子のためのサードプレイス』作りを通じて 街の子育て課題解決に取り組んでいる株式会社LINKの代表をしています。 子育てをママの自助努力だけに委ねない社会へ。 ママが困っている時、 心も身体も疲れている時、 子育てをちょっとお休みしてリフレッシュしたい時、 誰かの助けを借りて子育てをする事を あたたかく認めてあげられる社会へ。

text by サトウカエデ edit by 徳瑠里香


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