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リモートワークを前提とした組織の最適な働き方とは?人事・労務・コミュニケーション担当が1年を振り返る

2020年2月、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、READYFORではいち早く全社リモートワークを導入しました。

対面コミュニケーションを重視していた会社で、全社員フルリモートワークに移行。その背景では、在宅勤務手当の導入から、オンラインを中心としたコミュニケーション施策、新オフィスの検討まで、さまざまな取り組みがなされていました。

フルリモートワーク導入から1年以上。状況を変えながら長期化するコロナ禍、メンバーが増え組織が拡大するなかで、「新しい働き方」の構築に奔走したメンバーがいます。中心となって動いた、人事担当の吉川彩加、労務担当の若林岳人、コミュニケーション担当の江藤遥平に、実施してきた取り組みを振り返ってもらいました。

自宅で働く環境を整えられるよう、早急に「リモートワーク手当」を支給

―READYFORでは、昨年2月、国の専門家会議の見解が発表された翌日には全社フルリモートを決定し、迅速に移行しましたよね。

吉川: 当時は緊急事態ということで、一時的な導入の想定でした。まずはメンバー全員が出勤することなく家で働けるようにして、必要な環境や制度は後から整えていきました。

突然の移行でしたので、自宅にWi-Fiがないメンバーもいましたね。会社の備品だけでは限りがあるためレンタルしたメンバーもいて、その場合は経費精算で対応しました。そこで検討したのが「リモートワーク手当」です。

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(吉川彩加。人事として制度設計などを担当。)

若林: 通勤定期代として前払いをしていた「通勤手当」の期間が終わる7月、通勤手当をなくす代わりに「リモートワーク手当」を導入しました。毎月15,000円の一律定額支給です。通信費や光熱費、それから机や椅子といった働く環境に必要な備品購入のための費用を想定しています。

家庭によって、在宅勤務の状況はさまざまです。リモートワーク手当は月々3,000円〜10,000円が相場と言われていますが、手当の用途を細かく区切って対応するよりも各自の判断で足りないものをカバーしていただくという方針で、他社よりも多めの金額を設定しています。また、フルリモートでも出社する必要のある職種のメンバーもいるため、一部を通勤費にあてていただくことも想定していました。

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(若林岳人。労務周りを担当。)

オンボーディングプログラムを見直し、社内コミュニケーションの理想と現在地を伝える

―リモートワークはどのようにメンバーに受け入れられたのでしょうか?

吉川: 子どものお迎えで通勤時間を短縮したいメンバーや、集中して作業する時間がほしいメンバーは、リモートワークのメリットをいち早く実感してましたね。

もともとREADYFORでは、全メンバーが週1回を上限としてリモートワークを許可する制度があって。それとは別に、ご家族の都合や入社時の要件で遠方に住むことを許可していた事例もありました。なので、少数ですが以前からリモートで働いていたメンバーは、みんなが同じ条件で働くことになり疎外感がなくなったという良い面もあったと思います。

一方で、「淋しい」という側面もリモートワークにはあります。ちょっとした雑談が生まれない。ミーティングするには至らないけれど相談したい話がしづらい。人と話す機会が減ったことで、考えが整理できなかったり物事が前に進みずらかったり……そういった戸惑いの完全解消はいまでもなかなか難しいですね。

―なるほど。必要なときだけオンラインでつなぎ同じ空間にはいない、リモートワークならではの課題ですね。

若林: 特に新しく入社したメンバーにはできれば対面で組織について教えられるほうがいいよね、という話しもありました。

吉川: もともとREADYFORは、メンバーが顔を合わせたコミュニケーションを重視する社風です。フルリモート導入後、コミュニケーションに対する社内の考え方について説明する時間をオンボーディングプログラムのなかに組込みました。

わからないことがあったときに、誰に聞いて、どこを見ればいいのか。そういった情報は入社直後のメンバーにとって重要です。そのため、会社が考える理想のコミュニケーションのかたち、いま顕在化している課題、それらに対する取り組みを説明する機会を設けています。

「なんとなくやりにくい」を放置するのではなく、みんなの共通認識にしてちゃんと対策をとるスタンスです。同時期に入社したメンバーを4、5人集めて1時間ほど話をしていますが、参加者からは「全体像が理解できた」と好評です。

いいコミュニケーションを生む、オンラインとオフラインの最適なバランスを模索し続ける

―新メンバーに限らず、リモートワークでは、これまで以上に組織全体のコミュニケーションのあり方が課題になりますね。READYFORでは、ほかにどんな取り組みを行いましたか?

江藤: たとえば、メンバーお互いがもっと知り合う機会をつくれるよう、ランダムに出社するオフィストライアルを実施しました。個人が好きな曜日に、週に1回出社するというもので、昨年11月の第1週・2週に行いました。

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(江藤遥平。コミュニケーション施策を担当。)

本来はもっと長く続ける予定でしたが、コロナの感染拡大状況でやむなく中断となり……。そこでわかったのは、お互いのことを知ってオンラインのコミュニケーションを円滑にするためには、やはり何かしら出社の機会が必要だという点です。ただし、通勤には時間も体力も使うため、週1回は多すぎる。いまは月に1回、出社するメンバーを会社側がチームの枠を超えてミックスするかたちで指名して機会を設けるのがいい、という結論に落ち着いています。

若林: また、四半期に1回開催されるのキックオフは、メンバー全員が出社する機会となっています。月に2回の全社ミーティングは現在オンラインですが、出社の頻度は社内の温度感やコロナの状況に合わせて今後も変化していくと思います。

江藤:  今年7月には、月に1回ずつ数十人が出社することを前提とした規模の新オフィスに移転しました。20名~30名のオフィススペースと数個の会議室があるオフィスです。

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―たとえフルリモートワークでも、やはり出社してリアルに顔を合わせる機会は必要なんですね。

吉川: オンラインだけでメンバーの温度感を掴むのはとても難しいです。たとえば、コミュニケーション施策でオンラインイベントを実施しても、途中で抜けてしまうメンバーがいるなど、入社のタイミングにかかわらず、業務に直結しないコミュニケーションの必要性に関しては、認識の差もあります。

江藤: READYFORに限らず、100人から200人規模へ組織が拡大する過程では、「通信不確実性」が増加します。

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(通信不確実性の失敗パターン。全社会資料より)

知らない人が増え、怖いと思ってしまったり、部署が増えて、それぞれが対立して団結してしまったり。階層が増え、伝言ゲームのようにメッセージが伝わり難くなる弊害もあります。

フルリモートは、コミュニケーションに感情が乗りづらい弱点があるため、こうした通信不確実性が増してしまいがちです。テキストコミュニケーションは、時間的コストには優れていますが、ちょっとしたタイムラグやボディランゲージの不足から、対面と同じように感情を伝えるのは難しい。

昨年10月の全社ミーティングでは、テキストコミュニケーションのクオリティを上げる話もしています。オンラインとオフライン、どのように組み合わせるのが組織にとってベターな方法なのか。常に問われている1年でした。状況は変化しつづけるので、いまも試行錯誤を重ねています。

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(全社で共有したテキストコミュニケーションガイドラインの資料より)

リモートにより見えにくくなる、チームごとのミッションと動きを共有する場

吉川: いま進行している取り組みで好評なのは、月2回のオンライン全社ミーティングでのチームプレゼンですね。各チームがなにをやっているのかを発表し、資料を残しています。これは、READYFORの部門とスクワッドを組み合わせた組織体制にフィットしていると思います。

―あの、スクワッドとはどんな組織体制でしょうか?

吉川: 異なる職種のメンバーがプロジェクトごとにチームとなって、同じ目標を追う組織のかたちです。以前はツリー型の組織体制でしたが、組織図にはあてはまらないプロジェクトが存在していたこともあり、昨年1月からスクワッド組織体制に変更しました。

スクワッドでは、ミッションごとにメンバーがアサインされます。なので、複数のスクワッドに所属し、上司と部下のラインが入り乱れるのです。そうすると、上長の責任範囲やどこを向いて仕事をしたらいいのかという混乱が出てきます。

江藤: 柔軟なスクワッドは存在する一方で、個々人の基本的な業務は所属している部門に紐づきます。チームプレゼンで各部門の目的やメンバーの役割を知ることができるようにしていて。いきなりメンバー全員を知ってもらうのではなく、まず各部門を理解することを通して「○○している部門の□□さん」というようにメンバーへの理解を進めることを目指しています。

吉川: この前段として、昨年後半から半年間ほど取り組んだシャッフルトークがあります。これは、全社ミーティングの最後15分を使い、ランダムでチーム分けをし同じテーマについて話をするというものです。

江藤: しばらく実施してみて、全員が雑談の効用を実感するのは難しいと感じました。そもそも、雑談自体を好きではないメンバーもいますからね。

吉川: シャッフルトークのように個人がランダムにつながるより、普段接する機会のない部門がどんな役割で、誰が所属していて、どんな動きをしているのかを知ることが、いまのREADYFORの体制には合っていますね。

リモートワークの良さを最大限活かすためスーパーフレックス制へ

―緊急対応として導入して1年以上が経ちましたが、社内でリモートワークの捉え方に変化はありましたか?

若林: はい。「一時的」のつもりだったリモートワークは、いまではスタンダードな働き方となりつつあります。そこで今年に入り、就業規則を2つ変更しました。

ひとつは、リモートワーク手当の見直しです。もともと1万 5千円だった定額支給を1万円に変更し、代わりに月額上限8000円の通勤手当を実費精算のかたちで復活させました。これまでの話にあったように、業務の状況に応じては出社せざるを得ないメンバーも出てきます。出社が避けられないメンバーはリモートワークの環境整備が必要な一方で、通勤費負担も生じることになるため、不公平感を解消するために通勤手当を再導入しました。

そしてもうひとつが、スーパーフレックス制です。

―通常のフレックス制とはどう違うのでしょう?

若林: スーパーフレックス制では、必ず働かなくてはいけない時間帯の「コアタイム」がありません。始業と終業時間のほか、1日の労働時間や働く時間帯など多くの部分を社員自らが選べる自律的な働き方です。

リモートワークの良さを最大限活かせるよう、READYFORでは働ける時間であるフレキシブルタイムを、5時から24時に設定しています。

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(2020年2月より就業規則を変更しスーパーフレックスを採用)

―そんなに夜遅くまで働いていいんですか?

吉川: 誤解のないように説明すると、会社は深夜労働も長時間労働も推奨していません。

できる限りフレキシブルに、なるべく好きな時間に働けるように、働く時間の柔軟性の確保するのがこの制度の狙いです。

夜の22時以降は、深夜労働として割増賃金が発生します。READYFORでは、もともとみなし時間として10時間の深夜勤務手当を含めていました。今回これを40時間に変更しました。

あらかじめ深夜労働を40時間とみなすことは、法律上は労働者にとって不利益な変更になると思われるかもしれません。ただ、1日2時間×20日の深夜手当がすでについていることで、夜に働いたほうが給与が多くなる夜型有利を是正できます。受け取る給与額は変わりません。朝型勤務の人も夜型勤務の人も、フラットな条件になるのです。また、夜型勤務で事前申請が必要といった制約を出来る限り減らす狙いもあります。

―個人のライフスタイルに合わせやすい制度、ということなんですね。

吉川: 我が家は子どもが保育園に通っていて、17時がお迎え時間です。スーパーフレックスになってから、早上がりして子どもを寝かしつけたあと、21時頃から仕事を再開する働き方にしています。

若林: スーパーフレックスではありますが、組織で働いている以上、ミーティングは常識的な時間に設定しようという話は会社からしています。働く時間の管理は、各チームに任せている部分が大きいです。チャットで仕事開始を報告し合ったり、朝会や夕会など定期的に顔を合わせる時間を設定したり、チームで各々工夫を凝らしていますね。

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組織とメンバーにプラスになる取り組みを続けていく

―変化する世の中の状況や組織に合わせて、メンバーが働きやすい環境づくりを社内で検討して実装し続けていることがわかりました。

江藤: 会社としてルール変更にかかるコストを厭わない姿勢だったのは、いちメンバーとしてありがたかったです。

運用ルールを整備してきた結果、いまの組織で衝突のような不具合はないと思います。ただ、顔を合わせないことで生まれなかった「何か」を把握することはできないんですよね。オフィス出社ならではの付加価値がなくなって、何が生まれなかったのかは、検証できない。

若林: エンジニアやビジネスサイド、職種によってもリモートワークの満足度は違いますからね。

吉川: 定期的なサーベイをみると顕著です。リモートワークに対してエンジニアは環境への満足度がとても高い一方で、そうではない職種もあります。

私自身、単独で行う業務が多いので気分が落ち込むときもあります。そんなとき、隣に気軽に話せる人がいるかどうかは大きいですよね。リモートワークが続くなかで、もっと組織としてできることはないか常に考えています。

今後、世の中の状況が良くなるにつれオフィス出社の頻度も上がっていくでしょう。これからも引き続き、組織とメンバーにとって、プラスになる取り組みを続けていきたいです。

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江藤遥平
READYFOR プロダクト企画部プロダクトマネージャー
東京大学法学部卒業。2015年2月よりREADYFORでインターンを開始し、2016年4月に新卒入社。業務改善チームとしてKPI管理からサービス改善に従事。その後、シンプルプランの立ち上げを経て現職。UIリニューアルPJやプロダクトグロースに勤しむ。組織への関心からコロナ禍での全社コミュニケーションの運営をする。
吉川彩加
READYFOR組織戦略室 人事組織Gマネージャー
早稲田大学商学部卒。空調機メーカーに入社し採用担当を約5年経験したのち、自動車メーカーへ転職し事業所労務・厚生領域を担当。育休中、クラウドファンディングを利用したことがきっかけでREADYFORに興味を持ち19年10月にジョイン。人事制度企画、組織開発など人事施策全般を担当。人材紹介業の夫、5歳の娘と3人暮らし。
若林岳人
READYFOR ワークスタイルデザイン部長
神戸大学大学院システム情報学研究科卒業後、国内大手SIerやグローバルコンサルティングファームで行政機関・大手企業をクライアントにシステム導入PJを経験したのち、スタートアップ企業のコーポレートIT領域に従事している。2019年10月のREADYFOR入社後は労務・総務領域にも担当領域を広げ、IT活用による仕組み構築だけでなく、制度面からもワークスタイル変革を推進。
text by サトウカエデ  interview & edit by徳 瑠里香



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