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「結婚の自由をすべての人に」“同性婚”訴訟、クラウドファンディングができること

歴史的な「同性婚」訴訟、クラウドファンディング公開!

2019年2月14日、平成最後の愛の日に、日本で生活する同性カップル13組が、東京、大阪、札幌、名古屋で一斉に国を提訴した。同性カップルが結婚(法律婚)でいないのは、憲法違反だと訴える、その名も「結婚の自由をすべての人に」訴訟だ。

あわせて同日、クラウドファンディングReadyforでは、この訴訟の裁判費用などを集めるプロジェクトがスタートした。

反響は非常に大きく、公開から2日で、目標金額の500万円を超える支援が集まった。現時点(2019年2月25日17時)で、846人が支援を行い、支援の総額は814万7000円に上っている。今も引き続き、婚姻の平等についての情報発信やキャンペーンを行うための費用のために支援の募集している。

私もパートナーと付き合って14年になりますが、結婚は諦めていたので、記事を読み、頑張って下さっている皆様の事を知って、思わず泣いてしまいました。いつか不安のない、平等な日本になる事を祈っています。
あなたも、私も、ここにいていいんだと、認め合える世界を夢見ています。
なんで同性だと結婚できないのかが本当に不思議です。誰もが「自分が一緒にいたい」と思う人と、法律上でも認められる社会になることを願っています。

(日本で同性婚を求める訴訟を応援してください!「応援コメント」より引用)

プロジェクトの「応援コメント」には、よりよい社会の実現を願うコメントや、勇気をもって立ち上がった原告の皆さんに感謝し、その勇気を讃えるコメントが多く寄せられている。

原告となった皆さんは、今回の提訴に先立ち、却下されるとわかりながら婚姻届を提出した。

本当の戦いはこれからだが、こうして多くの人から支援が集まったことは、原告となった皆さんや、彼ら・彼女らをサポートする弁護士の先生方・関係者を勇気づけるものだと思う。

同性婚を認めないのは憲法違反。その根拠は?

ある調査によると、自分がLGBTだと答えた人は7.6%いるそうだ。この割合は、「左利きの人」や「AB型の人」と同等に上る。にもかかわらず、日本の制度上、同性婚の結婚は認められていない。

世界25ヶ国で同性婚が認められており、G7では日本以外のすべての国が同性カップルのパートナーシップを保障する法律を定めているのに、である。

この制度上の「空白状態」は日本国憲法に違反すると訴えたのが、今回の「結婚の自由をすべての人に」訴訟だ。

争点となるのは、憲法が認める婚姻の自由(憲法24条)や平等権(憲法14条)。

憲法24条1項は「婚姻の自由」を保障している。同項の「両性の合意」という文言から、同性婚の自由が憲法上保障されているかは議論がありうるが、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」とは、家長の同意なく本人たちの同意のみで婚姻する自由があることを定めたものであり、同性婚の自由は憲法上保障されているという憲法学者もいる。裁判所はどう判断するか。

また、憲法14条は、「すべての人は法の下に平等であり、不合理な差別は許さない」と定めている。異性カップルは結婚ができ、同性カップルが結婚できないことは、不合理な差別であり、平等権を保障する憲法14条にも違反するのではないか。
日本で同性カップルの結婚が認められていないことの合憲性を正面から問う訴訟が提起されたのは、今回が初めてであり、歴史的な訴訟だ。

日本の制度が同性婚を否定していることは、少し乱暴に言えば、社会がレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルを「異常」と決めつけ、排斥しているに等しい。社会が「正常」や「普通」を一方的に決めつけ、それを押し付けることは、個人の尊重とは真っ向から対立する態度だ。

LGBTと聞いても、自分ごとではないと考える人も少なくないかもしれない。しかし、一人ひとりが尊重される社会の実現を願うのであれば、この同性婚の問題は、誰しもが真摯に向き合わなければならない問題である。

同性婚はなぜ必要? 結婚できないことで困ること

最近では、パートナーシップ制度を認めている自治体もある。しかし、結婚(法律婚)が認められていないことで同性カップルが困ることは、たくさんある。

たとえば、パートナーが亡くなったとき、結婚をしていなければ、遺言がない限り、どれほど長く一緒に生活していても、法律上何も相続できない。

また、パートナーが外国籍だった場合、結婚していれば、配偶者として日本にいるための安定した在留資格を得られる。しかし、同性カップルは結婚ができないので、留学ビザや就労系のビザなど他の在留資格がない限り、日本で一緒に暮らすことさえ叶わない。

さらに、パートナーが病気で意識不明になったとき、結婚していれば、家族として様子を見守り、医師から話を聞くことができる。しかし、同性カップルの場合には、「法律上の家族ではない」ことを理由に病院から拒否されることがあり、病室に入れてもらえないことすらあるのである。

LGBTの象徴は、6色からなる「レインボーフラッグ」(7色でない理由は諸説あるようだ)。その意味するところは、「一人ひとりのセクシュアリティは、虹のようにグラデーションであり、みんな違ってみんな素敵である」ということだと理解している。

そして、セクシュアリティの問題は、結婚できないことによる不都合に照らしても明らかなとおり、生きることそのものに関わる。

松中権さんの『 LGBT初級講座 まずは、ゲイの友だちをつくりなさい』にも、次のような印象的な一節がある。

LGBTはよく「ベッドの上の話、セックスの趣味の話」でしょ?といわれてしまいがちですが、実はもっとフツーに「毎日の生活の話」だったり、「誰かとともに生きていく人生の話」だったりするんですよ。

セクシュアリティの問題を改善することは、すべての個人が自己の生を全うするために不可欠なのである。

「誰もがやりたいことを実現できる世の中」へ

READYFORのビジョンは、「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」こと。
「誰もがやりたいことを実現できる世の中」とは、「多様性」や「複雑さ」がありのままで受容される豊かな社会と言い換えることもできるだろう。

今回、Readyforを通してすべての人に結婚する自由を認める豊かな社会を実現するための「想い」や「声」をサポートできたことは、とても誇らしいことだと思っている。5月15日のプロジェクト終了まで、私たちは引き続き、全力でサポートしていく。

すべての個人が尊重される豊かな社会の実現のため、ぜひともクラウドファンディングにご支援いただければ幸いです。

text by 草原敦夫(READYFOR CLO) 

※Readyforではさまざまなプロジェクトが実行されています!

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