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安心、安全なサービスを実現するための、ルールの役割って?CLO草原に聞いてみた!

オンラインプラットフォーム、と言われて思い浮かぶものはありますか?クラウドファンディングやフリマアプリ、クラウドソーシングなどのユーザー同士が直接マッチングされるプラットフォームなら、使ったことがあるのではないでしょうか。

これらがますます身近になってユーザー同士が簡単につながれるようになった一方で、新しいサービスであるがゆえに想定されていなかったリスクが生じる可能性も否めません。

2019年4月には、内閣府の消費者委員会からオンラインプラットフォーム上で発生しうるリスクとその解決策に関する「プラットフォームが介在する取引の在り方に関する提言」が発表されました。

そもそも提言の中で言及されている「安心、安全」って、ユーザーにとってどのような状態なのでしょうか。そしてオンラインプラットフォームを利用する私たちにとって、「ルール」ってどう関わってくるのでしょう?

「安心、安全」なサービス実現に向けた法務の役割

2018年の夏、READYFORにCLO(チーフリーガルオフィサー)として草原敦夫が入社しました。前職で弁護士をしていた草原は、READYFORの利用規約改訂やガイドライン・ポリシーの整備といった「安心、安全」なサービスを実現するルールづくりに奔走しています。

「法務が守りの役割を果たすことが事業の成長につながる」「ミッションを表現する方法の一つがルールづくり」と語る草原に、法律のプロの視点から、プラットフォームにおけるルールづくりにおいて大切にしていることを語ってもらいました。

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── 草原さんが就いているCLOって、READYFORの中でどんな役割なのでしょうか?

経営陣の一人でありながら法務の責任者でもあるCLOの役割は、法律やリスクマネジメントの観点から事業の成長に貢献していくことだと認識しています。

法務って「守り」のイメージが強いですが、最近は事業を実現して促進するための「戦略法務」や「攻めの法務」が注目されています。僕が転職したのは、このような「攻め」の分野にスタートアップの社内からチャレンジしたいと考えたことが理由です。

── 法務は「守り」一辺倒ではないんですね。

前提として法務は「ブレーキ」の機能を担っていて、それ自体は重要なことです。法律違反をすれば事業の持続的な成長ができませんし、リスクが大きすぎることを事業部がやろうとしていたら止めるべきだと思います。適切な成長を実現していくためには、アクセルだけでなくブレーキを踏むことも必要不可欠です。

でも、アクセルを踏むべき事業部が自らブレーキも踏まなければいけないとなると、アクセルを全力で踏みきれないし非効率的。ブレーキをかける法務がいるから、事業部がアクセルを踏むことに専念できるんですよね。僕は事業全体が成長していくために「ブレーキ」の役目を担っているのが法務だと思っています。

草原の転職と「戦略法務」についてはこちらへ!
弁護士がスタートアップにジョインした理由

コンプライアンスとは、社会からの期待に応えること

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── 草原さんは、プラットフォームであるREADYFORのルールづくりについてどんなことを大切に考えていますか?

コンプライアンス、という言葉がありますよね。「法令遵守」と訳されることもありますが、僕は法を守るだけでは不十分で「社会的要請に応えること」も重要だと思っていて。じゃあ「社会的要請」、つまりREADYFORに期待されていることが何かと言うと、サービスのミッションである「想いの乗ったお金の流れを増やす」ことだと考えているんです。

READYFORの場合、共感や応援といった「想い」からプロジェクトにご支援いただくから「想いの乗ったお金」がめぐります。その「想い」が裏切られる事態はあってはならないこと。サービスにおけるルールとは、使ってくださるみなさんの「想い」を守るものでもあると思っています。

── プラットフォームにおけるルールづくりが、そこまでユーザーに寄り添って考えられているとは知りませんでした。

たしかにREADYFORのようなプラットフォームは実行者・支援者間の取引が成立する「場」であって、「場」を提供しているプラットフォーマーは契約の当事者ではありません。

理屈としては「場」でマッチングされた取引にプラットフォーマーが関与しないスタンスもありうるのですが、READYFORとしてはそのような方針をとるのではなく、寄せられている期待に応えたいと考えています。

このように社会的要請に応えるために意識していることは、4点あります。

プラットフォームを使った不正を防止するルールをつくること。掲載するプロジェクトを適切に審査すること。クラウドファンディングの支援者と実行者の間に成立するルールを整備して、説明すること。そして万が一実行者・支援者間でトラブルが発生した場合は、READYFORに寄せられている期待に誠実に応えていくこと。

あくまで代表例であって、この4点がクリアされていれば全ての問題が解決するわけではありません。「想いの乗ったお金の流れを増やす」ためにどんなルールが必要で、どんな状態が「安心、安全」なのか。ここに明確な答えはないので、他の事業部とも一緒に議論しながら日々検討しています。

── READYFORに寄せられている期待に応える手段の一つが、「安心、安全」のためのルールづくりなんですね。

そうですね。サービス全体でミッションを体現するために、それぞれのチームが重点的に追うべき目標を持っています。だからこそ、チームを超えた議論を通じて、それぞれのチームが大切にしているテーマをすり合わせながら最適解を探す。このプロセスは、よりよいサービスを実現するために欠かせません。

ルールをつくることで対応しようとしていた問題が、サービスの仕様によって解決できるケースもあるでしょう。たとえば実行者・支援者のみなさんにルールを把握していただくためのUI(ユーザーインターフェイス)を考えるにはプロダクトチームと一緒に検討します。

このように、ルールひとつとっても、法務単体でできることには限界がありますが、そもそも、法務は事業部に伴走するパートナーであって、全てのチームと連動しています。

READYFORはプロジェクトやリターンに関して実行者の自由度が高いからこそ、プロジェクトの実行をサポートするキュレーターから、「こういうリターンの設計は法的に問題ないですか?」と相談を受ける場面もしばしばあります。また、支援者からの問い合わせに対しても、カスタマーサポートチームと協力して対応しています。

たゆまぬ「ルールづくり」が事業を加速させる

── 今後はどのようなことを考えながらルールづくりを進めていきたいですか?

社会の状況や動向によって企業に寄せられる期待が変化し続けていきます。特にクラウドファンディングの場合は、これから社会のインフラとなっていけばいくほど「安心、安全」への期待も高まっていくはずです。

だからこそ、コンプライアンスの実現のためには社会からの要請に敏感でいるべきですし、常にルールをアップデートしていくことが欠かせません。

「READYFORは信頼できる、安心して使える」と思っていただけるからこそ、想いの乗ったお金の流れを増やしていける。そのためにも、ルールづくりを通じて終わりのない「安心、安全」の追求を続けていきたいです。その挑戦が、サービスをさらに飛躍させるための翼になると信じています。

text by 菊池 百合子 photo by 戸谷 信博

※READYFORでは一緒に働く仲間を募集しています。

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