亡くなった後も、子どもの未来へ想いをつなげる「遺贈寄付」
未来への想いを、遺言によって、財産の一部または全部に乗せて託す「遺贈寄付」。その想いは、亡くなった後も、寄付先の団体や周囲の人々の記憶の中に残り、生きた証にもなるはずです。
READYFORでは、安心して信頼できる団体に寄付ができるよう「レディーフォー遺贈寄付サポート窓口」を開設。遺言による寄付だけでなく、相続財産からのご寄付の相談も無料で受け付けています。今後のお金や生活の悩み、未来に対する想いに寄り添いながら、遺言状の作成などの手続きや寄付先の団体選びのサポートをします。
医療、環境、教育、スポーツ、障がい支援、国際協力……。寄付者の想いに沿ったさまざまな分野の課題解決に取り組む団体をおつなぎしています。
今回は、遺贈寄付を受け付けている、未来を担う子どもの支援に取り組む3つの団体の活動を紹介します。
どんな境遇にあっても、子どもたちの権利が保証される社会へ
家族という、日本社会で大きな役割を果たす見守りの仕組み(セーフティーネット)から抜け落ちてしまった子どもたちの支援を行う3keys。10代向け支援サービス検索・相談サイト『Mex(ミークス)』やどんな子どもでも家のようにくつろいで過ごせるパブリックな場所『ユースセンター』の運営をはじめ、虐待などで保護された子どもたちの学習支援を行うなど、セーフティーネットづくりに取り組んでいます。また、子どもたちの権利や尊厳を守るための情報をメディアや講演会を通じて発信するなど、大人への啓発活動を進めています。
「私たちが目指すのは、究極的には、頼れる家族がいなくても、子どもが幸せになれる社会です」
代表の森山さんは、活動を重ねてきた10年以上の間、子どもシェルターやフードバンクのような支援は少しずつ増えているものの、社会全体から寛容さが失われ、自己責任論が強まる傾向を感じているといいます。
「2021年に立ち上げた新宿エリアのユースセンターは、虐待や貧困で家ではできないシャワーや洗濯をするために利用したり、家族全員がワンルームのような家に押し込められ勉強もままならない子が、ストレスの多い環境から逃れ休みに来たりします。手づくりの食事を提供していますが、普段はフードバンクからもらうエナジードリンクや缶づめだけで生活している子も多くいます」
ユースセンターは現在、約200人の子どもたちが登録していますが、それでも通えるのは暮らす地域から距離があって顔見知りがいないなど、エリアがフィットする子どもたちだけ。児童相談所が対応した虐待相談のうち施設に入所するのはほんの一部であり、97%の子どもたちは虐待があっても家に戻ります。行政の支援が届かない子どもたちを支えるサポートは、十分とはいえません。
「家に居場所がない10代の子どもたちにとって、衣食住が保障され心身が満たされることは大きな意味を持ちます。実際にユースセンターで常に気を張って警戒していた子が、穏やかな表情になっていく姿を見ています。搾取される環境で育ち、大人が信用できない、自分に価値が感じられない、どうして自分ばかりこんな目に遭うのだと、彼らの中にある怒りが、家でも学校でもない安全な場を通じて和らいでいくのを実感します」
子ども支援の予算は市区町村内の子どもたちへの活動に限られることが多く、支援活動のエリアを広げるには寄付が頼りとなります。また居場所づくりに適した人材育成も重要です。
「寄付を通じていただいたご支援は、こうした子どもたちの居場所を広げるために活用していきたいと考えています。どんな家庭環境にあっても子どもたちの権利が保障される社会をつくりたい。そのために私たちはこれからも子どもたちに寄り添い、サポートの仕組みを広げていきます」
小児がんの子どもが安心して笑顔で暮らせるように
ゴールドリボン・ネットワークは、代表の松井さんが定年退職を機に立ち上げた法人です。松井さんは20代の時に小児がんで子供を失くした方の手記を読み、小児がんについて知ったといいます。
「自身の退職が近づいてきて、残りの人生で社会のために何ができるかを考え、『子供の支援活動をしよう』と思った際、その手記を思い出し、小児がんの支援をしようと決めたんです」
小児がんは、15歳未満の子供が発症するがんで、 日本では年間約2,500人が発症する希少がんです。治癒率は病気の種類により違いますが現在7~9割です。しかし、依然として子供の病死原因では第一位となっています。また、例え一命を取り留めても、約半数ががんそのものや治療の影響で生じる晩期合併症(障害)を抱え、就学や就職の際に苦労を強いられてしまうそうです。
「小児がんを治る病気にしたい。そして、辛い治療を乗り越えた子供たちが、安心して笑顔で生活できる社会を実現したい。そんな想いで、私たちは14年間、小児がんの研究者に対する助成や、小児がん経験者の生活の質向上のための支援、小児がんの理解促進のためのイベント開催などの活動を行ってきました。もし生前のご寄付や遺贈寄付等を通じてご支援いただいた場合は、子供と保護者への資金援助、特に今年から開始した『一人親支援』に活用したいと考えています」
同法人が行っている主な資金援助は、遠方での治療のための交通費の助成と、奨学金の給付です。現在、奨学金の給付世帯の約6割が一人親で、その平均年収は約220万円だそう。コロナ禍、失業等の経済的な打撃を受けた一人親世帯は少なくありません。さらに子供が小児がんになると、遠方に通院するための付き添いも含めた交通費や宿泊費等の高額な費用がかかるうえ、看病のために仕事を辞めなくてはならないケースもあり、一層の困難を強いられます。そうした方々への支援強化のため、今年から新たに一人親世帯への助成金制度が始まりました。
「しかし正直、資金は全く足りておらず、少額を少人数に支給するという形でのスタートです。また、当然一人親世帯以外への援助も、支給額も件数ももっと増やしていきたいという思いがあります」
松井さんは今年で78歳。支援した子供たちの笑顔にエネルギーをもらい、今でもとても幸せに、元気に働いているそう。
「今後も自分の身体が続く限り活動を続け、同時に若いメンバーに思いを引き継いで、一人でも多くの笑顔を増やしていきたいと思います」
国境を超えて、“やさしい小児医療”が根付くように寄り添う
フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーとは「国境なき友人たち」という意味。愛情さえあれば、医師でなくとも誰もが、国境なく助けを必要とする人々の力になれるという想いを込めて名づけられました。
1996年の設立以来、医療を受けることが困難なアジアの子どもたちのために活動し、カンボジアとラオスに非営利の小児病院を設立。発起人は、日本人カメラマンの井津建郎さんです。アンコール遺跡群の撮影のために訪れていたカンボジアで、たった2ドルを払えないために適切な治療を受けられず、目の前で亡くなっていく女の子の姿を目にしたことがきっかけでした。
フレンズが設立したカンボジアとラオスの小児病院で看護師を務め、20年以上にわたり東南アジアの小児医療に携わってきた、代表の赤尾さんは、“当たり前の医療が受けられない”子どもたちの現状について、こう語ります。
「東南アジアでは肺炎や下痢、栄養失調など、予防や治療のできる病気で子どもが亡くなるケースが珍しくありません。ラオスは子どもの栄養失調の割合が高く、貧しさゆえに、子どもの病気がわかっても、治療をしない選択をする親もいます。訪問看護で村に出かけたとき、火傷で指がくっついた状態のまま農作業を手伝っている子どもに出会ったことも。簡単な外科手術をすれば生活の質を向上させられるのですが、貧しさや信仰上の理由から病院に来られない子どももいます。だからこそ私たちは、こちらから出向いて家族に寄り添い、信頼関係を築きながら最善の道を探せるように努めています」
フレンズで働くスタッフが心に刻んでいるのは“Compassionate care(質の高い心のこもったケア)”だといいます。
「あるとき、出産時に亡くなってしまった母親がいました。赤ちゃんは助かりましたが、誰も会いに来ません。そこでスタッフが父親を訪ねると、母方の祖父母が娘の命を奪った悪い運気を持つ子として歓迎しておらず、そのことに父親は葛藤していました。そこでスタッフは毎週、父親を迎えに行き、赤ちゃんに会ってもらうことに。父親は成長していくわが子を見て徐々に愛情を感じ、やがて愛おしそうに抱いて帰ったのです。退院後、子の誕生を祝う家族儀式には病院スタッフ全員が招かれました」
目の前の病気や怪我をただ治療するのではなく、親たちが抱える根本的な課題や想いに寄り添う。それがフレンズの活動です。
「いただいたご寄付は人材育成を含めた病院運営に活用したいと考えています。国境を超えて子どもたちの継続的な健康や幸せを願い、“やさしい小児医療”が現地に根づくよう、活動していきます」
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