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LINE NEWSとREADYFORの連携で生まれた、社会課題の解決を前進させるジャーナリズム

READYFORは2022年、LINE NEWSと連携し、2つのクラウドファンディングプロジェクトに関する記事の制作・配信によって、LINE NEWSのプラットフォームからプロジェクトの支援へとつなげる施策を実施しました。

LINE NEWSは、月間利用者7,700万人、月間154億PVを超える(※2021年8月時点)、国内最大規模のスマートフォン向けニュースプラットフォームです。

「大きな影響力を持つプラットフォームだからこそ、社会的意義のある情報を届けたい」

そんなLINE NEWS編集部の皆さんの思いのもと、実現した今回の施策。

実際、施策を通じてどのくらいの支援が生まれたのか?そもそもどんな経緯で連携に至ったのか?LINE NEWSとREADYFOR、それぞれの担当者から話を伺い、施策が生まれた過程や、その効果を振り返ります。

情報を届けるだけでなく、ユーザーのアクションを後押しできる存在へ

──今回LINE NEWSとREADYFORの連携が実現した経緯について、改めて教えていただけますか?

前田:今回の連携については、私たちLINE NEWS側から、READYFORさんにお声かけをさせていただきました。

前田 将博(まえだ まさひろ)さん
LINE株式会社 編成7チーム / マネージャー
2016年入社。入社当初からLINE NEWSの編成を担当する部署に所属し、現在はLINE NEWSのオリジナルコンテンツの企画・編成を担当するチームのマネージャーを務める。

私たちには、ユーザーが求めているニュースだけではなく、届けるべき情報をしっかり届けていこうという信念があります。PV数が伸びやすいのはやはりエンタメ系のニュースですが、社会課題の現状を伝えるものなど、社会的意義のある記事がより多くのユーザーの目に触れ、世の中に増えていくサイクルをつくっていきたいと思っているんです。

そこで2019年に、我々が毎年年末に開催しているイベント「LINE NEWS AWARDS」で、「LINEジャーナリズム賞」という表彰の場を創設しました。この賞は、LINE NEWSを使って社会課題を工夫して伝えている記事や、その記事を書いた人を表彰するものです。

──イベントで表彰を行うことで、ユーザーがそうした記事に注目する機会をつくっているんですね。

前田:ジャーナリズム賞の創設を通じて、良質な記事を評価する仕組みは整ってきた手応えがあったのですが、今度は社内で「記事で情報を伝えるだけでいいんだろうか?」という議論が交わされるようになったんです。

その議論は、「ネットニュースならではの特性を活かせば、記事を読んだ人の具体的なアクションにつなげられるのでは?」「それによって社会課題の解決を一歩でも前進させられるのでは?」という方向に進んでいきました。

──そこで、記事とクラウドファンディングページを紐づけるアイデアが生まれたと。

前田:そもそも社会課題の解決に寄与できるアクションってなんだろう?と考えた時、直接的かつ手軽にできるものとして、クラウドファンディングが挙がりました。そこでREADYFORさんに、一緒に何かできないかと相談させてもらったんです。

小谷:READYFORとしても、ありがたいお声かけでした。「社会課題」というテーマも、READYFOR上にあるプロジェクトの多くが社会課題に関するものだったので、相性がいいなと思いましたね。

小谷 なみ(こたに なみ)
READYFOR株式会社 / リード キュレーター / ファンドレイジングサービス事業部 マネージャー
WEB/編集ディレクターを経てREADYFORに参画。キュレーターとして伴走したプロジェクトの累積調達額約21億。社会的養護の子どもたちへの支援に特化した「こどもギフト」の立ち上げ、プログラムオフィサーを務める。2018年より組織マネージメントも兼任し、2019年から2022年までキュレーター部部長、現在はファンドレイジング事業本部にてサービス開発を担うプレイングマネージャー。2022年10月 応援広告クラウドファンディング「FUN FLAG」の企画、運営を担当。

1つの記事から、5名のマンスリーサポーターが誕生

──その結果、2社で連携し、READYFORでクラウドファンディングを実施している団体のインタビュー記事をつくることになったんですね。

前田:まずは1本目として、2022年9月に、北九州を拠点にホームレスや生活困窮者の支援を行う認定NPO法人抱樸(ほうぼく)さんの記事を制作・配信しました。

記事の制作にあたっては、LINE NEWSの制作チームで実際に北九州まで足を運び、取材を行いました。

──READYFORに掲載されているプロジェクトは数多くありますが、記事化するプロジェクトはどのように選定したんでしょう?

小谷:「記事の読了後、そのまま寄付につなげられるよう設計する」という前提があったので、まずは一定期間のみ資金調達を行う単発のプロジェクトではなく、継続的に寄付を募っている団体に絞りました。その中で、社会課題にアプローチしており、かつ、まだあまり広く知られていない取り組みを行っている団体さんをいくつかピックアップし、LINE NEWSの皆さんと協議をして、最終決定を行いましたね。

──1本目の記事を配信してみて、反響はいかがでしたか。

前田:抱樸さんの記事からは5件、毎月の寄付を行うマンスリーサポーターの申し込みが生まれました。抱樸さんのページから他のプロジェクトのページに飛び、支援につながった事例も数件あったとうかがいました。

一度きりではなく毎月の寄付のため、一回の寄付額はそこまで多くはなかったのですが、今回ご支援いただいた方がこれから継続的に寄付してくださると考えると、大きな成果につながったと思います。

第二弾記事では、163件・総額130万円超の支援が実現

──1本の記事から5名のマンスリーサポーターが生まれるというのは、大きなインパクトですよね。

前田:記事を読んで支援してくださる方が実際にいるんだ、という手応えを感じられて嬉しかったです。

2本目の記事では、さらに大きな支援につなげることを目指し、マンスリーサポートよりもハードルが低い、単発の寄付ができるプロジェクトを選ぶことにしました。単発のプロジェクトでは寄付できる期間が限られるので、タイミングを合わせて記事が公開できるよう、制作を進めていきましたね。

取り上げるテーマも、LINE NEWSのコアユーザーである若年層や主婦の方々により身近に感じていただけるものを意識し、小児がんなどの病気を抱えた子どもたちを支援する「ファシリティドッグ」の普及活動を行う認定NPO法人シャイン・オン・キッズさんへの取材をご相談しました。

その結果、記事経由で163件、総額130万円超の支援をしていただくことができました。

──とても大きな支援ですね…!

前田:本当にありがたかったです。やはりテーマが読者層にマッチしていたようで、SNSでも広く拡散していただきました。プロジェクトページへの導線となるバナーも、記事を読んだ後にスムーズにクリックしたくなるようなものにアップデートしており、その効果もあったかもしれません。

──記事には、どんな感想が寄せられたんでしょう。

前田:医療の現場で子供たちの心のケアを担う「ファシリティドッグ」という犬たちの存在を、この記事を読んで初めて知ったという声が多かったです。そのため、元から課題感を持っていたというより、記事をきっかけに興味を持ち、支援してくださった方が多かったのではないかと思います。

プロジェクトページの応援コメントに「記事を読んで来ました」と書いてくださる方も多く、こんなにも反響があるんだと嬉しかったですね。

──LINE NEWSという大きなプラットフォームを通じて多くの方に情報を届けられたことも、成果の要因ですよね。

小谷:LINE NEWSさんとREADYFORとで、届ける情報の役割分担がうまくできたのも良かったと思います。

クラウドファンディングのプロジェクトページでは、団体の基本情報や寄付金の使途など、必ず掲載しなくてはならない情報が多くあります。しかし人の心が動かされるのは、そうした説明的な情報よりも、感情移入できるストーリーですよね。

そこでまずはLINE NEWSさんに多くの方の関心を喚起する記事をつくっていただき、広く記事を届けていただく。そこからREADYFORのプロジェクトページに飛んで、詳細な情報を知っていただくことで、支援につながるという良い流れを生み出せたのではないかと思います。

記事が社会に生み出したインパクトを可視化する、新たな挑戦

──今後の展開については、どのようにお考えですか?

前田:今回の施策を通じて、記事を読んでそのまま支援ページに飛べるのはインターネットの大きな強みだと改めて感じましたし、社会のためにアクションしたいと考えている人は、実は潜在的にはかなり多そうだという発見もありました。その受け皿をどうつくっていくか、さらに考えていきたいですね。

小谷:LINE NEWSさんが配信した記事によって世の中が良くなっていることを可視化する指標として、うまくクラウドファンディングを活用できたらいいなと思います。難しいチャレンジではありますが、いい方法を模索していきたいです。

──記事を通して生まれた社会へのインパクトが可視化されるのは、支援した読者の方々にとっても嬉しいことですよね。

中山:支援して終わりではなく、支援した結果どうだったか?という情報を読者の方々に届けていく仕組みは、LINE NEWSとしても考えていきたいと思っています。

中山 佑輔(なかやま ゆうすけ)さん
LINE株式会社 編成2局 / 副室長
2018年入社。LINE NEWS編集部、スポーツ領域の企画、マーケ・グロース領域を担当。前職はスポーツ系コンテンツの編集者。入社後はLINE NEWSの編成担当として主にスポーツ関連の施策をリード。現在はマーケ領域も兼務し、シニアマネージャーを務める。

コミュニケーションツールであるLINEの強みを活かし、記事を一方的に届けて終わりではなく、ユーザーと双方向の関係性を築いていきたいという思いは、LINE NEWSの根底にあるものです。

今回の連携施策は、情報を届けるだけでなく、ユーザーのアクションにつなげようという思いから実施されたものですが、「それで終わっていいんだっけ?」というのも、また考えなければいけません。だからこそ、読者の方が支援してくださった後の仕組みも、考えていきたいですね。

また、今回はトライアルとして、LINE NEWS編集部でオリジナル記事を作る形で施策を実施しましたが、今後は我々に記事を提供してくださるメディアの方々と連携する、というのもありえると思います。社会課題の取材に強みを持つメディアさんもいらっしゃいますし、双方にとって良い仕組みを考え、いろいろな方々の協力を得ることで、今回のように複数社が連携することで生み出せるポジティブなインパクトを、引き続きつくっていきたいと思います。

 text by 高野優海 edit by 徳 瑠里香