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課題と想いを共有せよ!DeNA・nekokakさんにCTO町野が聞く、自走するエンジニア集団のつくり方

一部上場企業でありながら日々進化を続け、「世界を切り拓く永久ベンチャー」と言われる株式会社DeNA(ディー・エヌ・エー)。多くのエンジニアが、ゲームからオートモーティブまで幅広く展開するDeNAのシステムを支えています。そんな彼らを2018年4月から率いている、執行役員システム本部長の小林篤さん(通称nekokakさん)。DeNAの技術集団が常にチャレンジできる組織設計を担っています。かつてDeNAに在籍してその組織運営を目の当たりにしていたREADYFORのCTO町野明徳が、エンジニアを率いる立場になった今あらためてnekokakさんに聞きたいこと。それは「自走するエンジニア組織の設計」について──。

(左から、小林さん、町野)

小林篤(@nekokak)
株式会社ディー・エヌ・エー執行役員システム本部本部長
法学部法律学科からエンジニアへ転身し、2011年にDeNAに入社。Mobageおよび協業プラットフォームの大規模システム開発、オートモーティブ事業本部の開発責任者を歴任。2018年4月より執行役員としてDeNAのエンジニアリングの統括を務める。
町野明徳
READYFOR執行役員CTO
大学院在学中に電子書籍分野での起業をして以来、複数のスタートアップの事業立ち上げに携わる。2012年スマートニュース社の初期メンバーとして参画。その後株式会社DeNAで自動運転などの新技術を扱うプロジェクトを経て、2019年1月より現職。

CTOの役割は、技術のトップだけではない

町野 僕がDeNAに在籍していたのは1年間ですが、会社の外へ出たことでDeNAの組織レベルの高さを実感しています。個人が自走できるように、かなり考えられて制度設計をされているんじゃないかなと。僕がREADYFORでCTOを担う上で、あらためてエンジニア組織についてnekokakさんにご相談したいと思いました。

nekokak DeNAにはCTOがいないんですよ。僕の立場は技術面を担う執行役員の一人であって、CTOではない。なぜなら、DeNAのようにさまざまな事業体を抱えている会社の「技術」を全て把握することって、もはや不可能なんですね。

そういう会社で僕のようなポジションの人間に求められることは、技術のトップではなく「技術組織」のトップであること。エンジニアがいかにこの会社でバリューを出せるか、働きやすい組織設計を提案・実行する役割であると考えています。

町野 なるほど。技術のトップとは意思決定が切り分けられているわけですね。

nekokak そのとおりです。ただし会社のフェーズによってCTOの役割が変化していくので、今のREADYFORではCTOが組織設計だけを担えばいいわけではないですよね。どういう技術を選定し、会社のサービスを向上させるためにどのような意思決定をするのか。そういった技術のトップとしての役割も求められる段階じゃないでしょうか。

町野 そうですね、CEOである米良には、エンジニアのバックグラウンドをベースにして経営レベルの意思決定に関わってほしいと言われています。

nekokak 町野さんはどちらも一人で担わなければならないので、求められているハードルは高いと思いますね。町野さんがエンジニアを代表して経営会議で話す場面はありますか?

町野 はい。最近だと技術的な課題がどこにあるのか、現状を把握して経営メンバーとシェアしています。僕が経営会議で担うべきことの一つに、言葉の変換があると考えていて。エンジニアと非エンジニアがスムーズなコミュニケーションをとれるように、共通言語を見出して議論の解像度を上げていっています。

nekokak これからは、エンジニアが仕事に集中しにくくなるような課題への対応も求められていくのはないでしょうか。

例えば、DeNAでは2018年からR&D(企業の競争力を高めるための技術調査や研究開発)をスタートさせました。これはまさに、DeNAが抱えていた課題が発端だったんです。新しい技術を知りたい欲求が強いエンジニアは、自分で技術を研究して磨いていく。でも当時のDeNAでは事業に直接紐づいていないと、技術を研究する為に必要となる資金や時間を確保しにくい状況でした。

その課題に気づいてから、僕は経営会議で「DeNAは技術の会社だと言われているが、もっと技術に対する投資をしていくべきじゃないか」と話したんです。そしたら他の経営陣も同意してくれて、その手段の一つとしてR&Dをスタートさせた経緯があります。

町野 なるほど。すごく納得感があります。

nekokak 課題に対して経営レベルの意思決定が必要な場面で、町野さんが提案して決裁まで持っていけるか。ここが今後役割の一つとして求められそうですね。

課題解決に向けて、他の事業部にいるプロと連携する

町野 エンジニアが需要過多になっている今、READYFORでも採用に本腰を入れていく必要があると考えています。エンジニアから選ばれる会社になるために、nekokakさんはどのような取り組みをされていますか?

nekokak 目指す方向を決めるために、まずは課題の整理が必要だと考えています。その一歩目として、採用市場で自社を知っている人がどれだけいるのかを知る。そうすることで、例えば「社内での開発の実態が応募者から見えにくいのではないか」と課題が浮かび上がってきますよね。

次にその課題を解決するための戦略を考えて、具体的な戦術に落とし込みます。その際に重要なのは他部署との連携です。例えば採用イベントを開催するのであれば、どこにどのような告知を出すのかを広報・人事に相談する、といったように。

町野 nekokakさんは実際に事業部を超えて連携されているんですか?

nekokak はい。それぞれの道のプロにお願いしたほうが、より速い課題解決につながりますからね。例えば採用におけるDeNAの課題は、入社後に具体的にどのような技術を扱えるのか分かりづらいことだと認識しました。だから僕は今の役割に就いてから、まずはエンジニアの採用市場におけるDeNAの存在感を上げていこうと考えたんです。

そのために、来場者数の多いイベント「DeNA TechCon」を活用することにしました。僕が用意したのは青写真です。ここに来た人にどういう余韻を残すのか、そのためにどんなコンテンツを用意するのか、どうすればDeNAの技術に興味を持ってもらえるか。見取り図のように思い描きながら計画を立てていきました。

町野 なるほど。単に良いイベントをつくりあげる以上の意図を込めたんですね。

nekokak そして、先ほど整理した課題を他の事業部にも共有しました。採用だったら特に人事ですね。「こういう課題があって、解決のためにこういうことをやりたい。この部分に関して僕はプロじゃないから、力を貸してほしい」とお願いして。

社内では僕が全部やっていると誤解されがちなのですが、そんなことはありません。それぞれのプロに依頼しているんです。違う事業部であろうと課題さえすり合わせられれば、青写真を現実にするために必要なピースを一緒にはめていくことができる。だから僕は大枠を考えて、あとは議論しながら他のメンバーと進めていきました。

技術組織を導くために必要な中長期のビジョン

nekokak 採用以外だと、最近の町野さんはどんなことに時間を割いていますか?

町野 現状の課題把握から始まって、今後の組織像を考えています。とはいえ、実務的な課題への対応にも時間を取られがちですね。

nekokak なかなか難しいとは思うのですが、プロダクトが成功すれば他の課題も解決されていくと考えることもできますよね。実務への対応は最低限にとどめておいて、むしろプロダクトの戦略を練ることに全力を注ぐフェーズのような気がしていて。

町野 そうですね。プロダクトを成長させるためにも、運用サイドとエンジニアが一緒に考えられる開発組織にしていきたいと考えています。これまでのREADYFORでは、運用サイドから上がってくる要望をエンジニアが適切に対処するにとどまっていた。今後はエンジニアがもう一歩踏み込んで、この要望をどのように対処できるのか、なぜ対処する必要があるのか、議論して提案できる組織にしたいなと。

nekokak そのためには、あるべき姿から逆算して今やるべきことを洗い出す方法がいいと思います。つまりバックキャスト。むしろバックキャスト形式で考えないと、短期のずれが将来的に大きなずれへと変わってしまいますよね。

5年後にありたい姿を思い描いて、その時点でのプロダクトを定義する。そこからバックキャストして、「これしかやりません」って決断する。軸が定まっていると、自分たちがやるべきだと思うことに全ての労力を割けるようになるんですよね。だから、体制が整っていないときほど中長期のビジョンを思い描くことが重要なんじゃないかなと思います。

町野 はい。その際に、ビジョンだけでなく「なぜこれに取り組むのか」を伝えていきたいと思っています。メンバーそれぞれがオーナーシップを持って動ける状態になるには、背景を理解していることが重要なんじゃないかと。

nekokak おっしゃるとおり、そこにこそ時間をかけたほうがいいですね。課題と打ち手がセットで伝わらないと不満に思うことも、みんなで課題を見つけて解決していこうと目線を合わせられる。おのずと誰も外野にならない「自走するチーム」ができてくると思います。

CTOが先頭に立って発信を続ける

町野 背景で言うと、僕がREADYFORに入った理由は社会的にインパクトを与えるイノベーションに関わっていたいからなんです。社会を変えるプロジェクトがReadyforで生まれていく。その仕組みを支えられれば、僕一人ではいくつもイノベーションをおこせなくても、社会に対してより多くのプロジェクトを提案できるじゃないですか。

nekokak いいですねえ。そういう想いを発信することが、採用においても組織運営においても重要だと思います。町野さんが熱を込めて語ることで、そういう考えを持っている会社に入りたい、そういう人がいる会社で組織をよくしていこうと考える人が必ずいるはずです。

町野さんはDeNAのような大企業もご自身での起業も、どちらも経験されている。さまざまなフェーズに合わせて柔軟に対応できる方だなと思っています。技術とサービスのどちらもバランス良く考えられる人って、実は希少なんですよね。そういう人を100人規模の段階で採用できていることは、READYFORの大きな強みだと思います。今後はさらに、個人が自走しやすい技術組織にしていきましょう。

町野 頑張ります。ぜひ引き続きご指導よろしくお願いします。

text by 菊池 百合子 photo by 戸谷信博

※Reaydyforではさまざまなプロジェクトが実行されています!

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