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人生の転機にREADYFORがあったから前を向けた。シングルマザーの小さな挑戦

人生のなかで予期できない悲しみに襲われても、前を向いて人は進んでいける。

そんな話を聞かせてくれたのが、プロジェクトを実行した後、2018年3月からパートタイムでREADYFORの相談対応チームで働く松浦元子さんです。

松浦さんは夫の仕事の関係でパレスチナとパキスタンに駐在していた頃、READYFORを知り、二度に渡ってクラウドファンディングに挑戦しました。そんな中突然訪れた、予期せぬ夫の死、振ってきた転機。

「READYFORで働きたい」

その想いは“絶望”の最中にいた松浦さんにとって、娘とふたり、シングルマザーとして生きていく“希望”になったと言います。

苦しい時期を乗り越えて今、自分の人生を生きていると語る松浦さんに、READYFORに惹かれた理由や、これから待ち受ける新たな挑戦について話を伺いました。

パレスチナの折り紙をきっかけに出会ったREADYFOR

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2012年夏から、夫と娘と3人で暮らし始めたパレスチナ。

「パレスチナで驚いたのは、私はただの主婦であるにもかかわらず、『支援してほしい』とお願いされることがよくある、ということです」

日本政府が現地でODA事業を多数展開していることもあり、”日本人=支援”のイメージが強かったのだろうと振り返ります。

「そんな中、折り紙教育をパレスチナで普及するために活動している若夫婦に出会いました。彼らの折り紙に対する熱い想いに触れて心揺さぶられ、力になりたいと思ったんですね」

問題は、彼らが求める折り紙教本の制作費100万円をどうやって集めるか。夫に相談したところ、日本政府の支援金額の基準は1000万円以上になるため見合いません。そこで調べて辿り着いたのが、READYFORのクラウドファンディングでした。

READYFORのサイトで同じようにパレスチナを支援する日本人のプロジェクトページを見つけ、「私でも集められるかも!」と勇気づけられた松浦さん。パレスチナ人の若夫婦を実行者に、自身は黒子としてページ作成を一手に引き受ける形でプロジェクトを立ち上げることになりました。

ところが結果は、大幅な未達。失敗です。

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「集まったのは20万円くらい。恥ずかしながら、”パレスチナで折り紙”というテーマに多くの日本人が共感してくれるはず!と思い込んでいました。達成するためには、実行者が主体となる広報活動が必須。その大切さを理解していなかったのです」

自ら前に立って発信するのは性分ではないと話す松浦さんは、この件でクラウドファンディングは自分には向いていないと痛感します。

ところが、夫の次の赴任地であるパキスタンで、再びクラウドファンディングに挑戦することになります。イスラマバードのスラムに縫製学校を設立しようと奮闘するパキスタン人女性と出会ったことがきっかけでした。このときも実行者はその女性で、松浦さんは黒子。前回の経験から周囲への告知にも力を入れ、目標金額に達成しました。

「キューレーターのアドバイスに助けられての達成です。写真の選び方、文章の構成、広報の進め方など、サポートが本当に心強かったです」

予期せぬ夫の死、READYFORで働くという決断

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2017年の夏に一時帰国した際、松浦さんはREADYFORのオフィスを訪れます。

「パキスタンのプロジェクトでお世話になったキューレーターがオフィスに招いてくれたのです。30分くらい談笑した後、オフィスを案内してもらい、若さ溢れる素敵な会社だなと、READYFORがますます好きになりました」

ところがその翌年2018年の1月、パキスタンで夫がくも膜下出血で急逝します。

「夫はまだ53歳。あまりにも突然のことでした」

夫を看取る時、松浦さんはシングルマザーとしての生き方を考えました。その時ふと心に浮かんだのが、READYFORで働く、という選択肢です。

「以前、パートスタッフ募集のお知らせがウェブサイトに載ってたのを覚えていたんです。”READYFORで働こう”と思ったら、目の前がパッと開けた気がしました」

1ヶ月後、本帰国してすぐに履歴書を送り、見事採用された松浦さんはREADYFORで働き始めます。2018年3月のことでした。

「人生はドラマです。生きていると必ず乗り越えられないような問題にぶち当たり絶望を味わいます。でも、私の場合、READYFORとの繋がりがあったので、その希望を自ら手繰り寄せることで、悲しみを乗り越えることができました」

何かの力に後押しされるように飛び込んだREADYFORで、松浦さんは新しい人生を歩み始めます。

誰かの人生を垣間見ることが、新しいエネルギーをくれた

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松浦さんは現在、プロジェクトを立ち上げたい人からヒアリングをし、キューレーターにつなぐ相談対応チームで働いています。電話越しに相談を受ける中で、人生を垣間見る瞬間が多々あるそう。

「帰国当初は夫を失った悲しみに襲われることが度々ありました。それでも、相談者さんの想いに耳を傾けることで、自分の気持ちを立て直していくことができました」

飲食店やゲストハウスの開業、国際協力、子ども支援、障害者・福祉問題など、さまざまな想いを持って行動を起こそうとしている人たちの人生に触れるヒアリング。その中で忘れられない出会いがある、と話します。

「重度の障害を持つ子どもたちのためにデイケアサービスを作りたい、と相談してくださった友岡さんです。彼女は13トリソミーという染色体異常による障害のある娘さんを育てるシングルマザー。友岡さんの想いを電話で聞き、激しく共感した私は、個人的にも支援をしましたし、プロジェクトが無事成立した後、デイケアサービスのオープニングセレモニーにも足を運びました」

相談者さんをキューレーターにつないだ後、目標達成、そしてやりたいことを実現するまでの流れを見守り、会いに行こうとまで思ったのには、どのような理由があったのでしょうか。

「障害者支援のスキルが全くない私は、友岡さんにお会いして何か具体的にお手伝いしますよ、などと言える立場ではありません。ただただ、友岡さんに会いたい。シングルマザーでプロジェクトを立ち上げた彼女の生き様に直に触れたい、という気持ちだけでした」

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「READYFORのスタッフはみんな、“相談者さん、実行者さんが想いを叶えられるためには何をしたら良いのか”を第一に考えながら働いています。私も一業務として友岡さんを次のステップへと案内しただけですが、その後、友岡さんが想いを叶えた場所に実際に身を置き、直接お会いしたことで、自分の心が激しく揺さぶられたのです。その気持ちは今でも忘れられません」

異国で知人を応援しようとプロジェクトに挑戦し、想いを行動に変えたい人をつなぎ、支援する。小さな個人の、大きな夢を形にする循環のなかで、松浦さんが受け取ったのは、”自分も何かをはじめたい"という、新しいエネルギーでした。

前を向く覚悟をくれたこの場所で、挑戦し、応援を続けたい

「実は、神楽坂にアラブ軽食カフェをオープンしました」

日本でシェフとして働くエジプト人のテナント探しを手伝っているうちに、シェフと一緒に自分も開業に挑戦しよう、と思うようになったそう。

「READYFORで2年間、友岡さんはじめ、さまざまな相談者さんのヒアリングをしたことで自分も何か挑戦しなくては、という気持ちがフツフツと湧き起こってきたのです。とても小さなカフェです。でも将来、事業が安定したら、ヒアリングで相談者さんたちから教えてもらった、”日本にたくさん潜在している雇用を求める障害者や外国人”にも働いてもらえるカフェにできたら、と妄想しています」

2020年4月9日にテイクアウトのみからオープン。内装工事のあれこれ、保健所とのやり取りなど、飲食店開業の実態を身をもって体験しました。

「新型コロナウイルスの影響で大変な状況ですが、学校や保育園がお休みになって、1日3食の支度に疲れているお母さんたちも多いと思うので、少しでも役に立てたらと、テイクアウトのみで、進めることにしました。

READYFORのプロジェクトでも飲食店開業はとても多い案件です。相談対応の仕事はパートタイムなので、お店が軌道に乗ったらダブルワークで、相談を受ける際にこの実体験を役立てられたら嬉しいです」

年齢や価値観、自分とは異なる若い世代が活躍する会社で、松浦さんは刺激をもらっています。

「今年、50歳になります。最愛の夫を失いましたが、READYFORで働くことで、仲間から、また相談者さんから刺激をもらい、こうして新しい挑戦のスタートラインに立つことができました」

人生の転機となったREADYFOR。松浦さんの目にはどのように映っているのでしょうか。

「前を向いて生きていこうという気持ちにさせてくれる場所です。相談者さん・実行者さんはもちろん、会社自体もみんなチャレンジャー。だからこそ、私自身も、残りの人生、挑戦する気持ちをいつも胸に、失敗しても笑い飛ばし、楽しく生きていこうという気持ちになれました。本当に感謝しています」

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【松浦さんのお店について】
abuessam
Arabic Cafe & Deli Abu Essam /アラビックカフェアンドデリアブイサーム
新宿区津久戸町1-14サンハイツ飯田橋102
4月予定:11:00-19:00くらいまで 不定休
美味しい”アラブ”を楽しめるカフェが神楽坂に誕生。手作りスイーツもありますよ!
Instagram
   text by サトウカエデ Photo by 戸谷信博 edit by 徳瑠里香

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