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伴走者として「良い問い」を立てる。人生をかけて解決したい社会課題に向き合う人々とともに働く、ファンドレイザーの仕事。

誰かの「やりたい」を実現させる手助けをしたい。

大学時代、カンボジアで国際協力をする学生団体にいた頃から一貫した想いを持つ二之方(にのかた)さんは、学生時代のインターンからそのままREADYFORに入社しキュレーターとして活躍。

現在は、ファンドレイザーという役職を果たしています。

彼の言葉を借りれば、役職の幅が広がった今も「活動する人の想いと支援者の応援したい気持ちのクロスポイントを見つけ繋ぎ合わせるのが仕事」。

その一貫した姿勢で、学生時代からどのような経験を経てファンドレイザーへと進化してきたのか?

ファンドレイザーとはどんな仕事なのかについても伺いつつ、インタビューを行いました。

二之方 太喜(にのかた たいき):法政大学 経営学部卒。2019年新卒でREADYFORに入社。ソーシャル領域のクラウドファンディングキュレーターのチームリーダーを務める。その後ソーシャル領域に加え、日本文化・寺社仏閣・音楽など文化領域のファンドレイジング全般の伴走支援に携わる。これまでに260件を超えるプロジェクトを担当し、調達金額は18億円超*。(*2024年7月時点)

自身が挑戦しクラウドファンディングの価値を実感

──二之方さんは、インターン生としてREADYFORで働き、そのまま入社されていますが、インターンになるまでの話をお聞かせください。

大学時代は「サッカー選手になりたい!」という夢を持つカンボジアの子どもたちをサポートする学生団体の活動に熱中しました。

純粋にカンボジアの子どもたちのために何ができるかを考え、先輩たちが次々企画するプロジェクトのサポートに回る。それが自分に合っていたんだと思います。

その学生団体でクラウドファンディングに挑戦し、READYFORに出会いました。

内容としては、カンボジアの公共の場に大型スクリーンを設置し、みんなでサッカー観戦をする試みです。挑戦は無事に成功しまして、このときクラウドファンディングってすごいなと思ったんです。

支援する日本の方たちに直接のメリットがないにも関わらず、こんなに支援が集まって想いが実現するのかと驚きました。

この仕組みが広がれば、みんなのやりたい想いが加速する。そう思ってまずはインターン生になりました。

READYFORを選んだ決め手は熱量あふれるメンバーの存在

──インターンと同時に就活も進めつつ、最終的にはREADYFORに決めたんですよね。何が決め手でしたか?

READYFORのメンバーからほとばしるエネルギーと強い意思を感じたんですよね。

僕がインターンをしていた頃のREADYFORって社員が50名ほどで手作り感があったし、みんながいろんな業務を兼務しながら働いていました。

決まった役割を与えられ、与えられた数字を追いかけるというより、それぞれがREADYFORのビジョンを達成するために自分の価値を高めていくこと、サービスを通して提供できるものをいかに進化させるかを追求していました。自分のためではなく、READYFORや自分がつくりたい社会のために全力で向き合っている姿がカッコよくて魅力的だったんです。この姿勢はどの会社よりも圧倒的だと感じました。

まあ、そうは言っても実はかなり迷ったんですよ(笑)

結局、とある企業の人事の方に言われた「君は環境に合わせようとするところがある。新卒では一番鍛えられると思う環境を選んだ方がいい」の一言も後押しとなってREADYFORしかないと判断しました。

──内定後はすぐにクラウドファンディングのキュレーターとして働き始めていますが、最初に携わった案件は覚えていますか?

印象深くて覚えています。実行者の方と面談してから公開に至るまでを初めて一緒にやったのは、サバを売るプロジェクトでした。

東日本大震災の被害を受け、工場をマイナスから再スタートした岩手県の港にある会社のプロジェクトで、高齢者が主に従事している工場に暖房設備を導入したいというものでした。

想いは共感できますが、そのまま出すと私の工場に暖房設備を導入したいので寄付してくださいという内容に捉えられかねず、地域を含め多くの方が支援する理由にはならない。さてどうしようと考えました。

あれこれ調べてみると、この会社さんは復興庁との繋がりで大手の企業さんに支援された経歴がありました。それなら、「復興できたことへの感謝としてサバをお届けします」の方がいいと思いました。そこでいただいたお金で暖房設備を購入しますという流れにしたんですよね。

実行者の方からは「見ず知らずの人にこんなに支援してもらえると思っていなかった」、「二之方さんいなかったら達成していなかったよ」と言ってもらえてすごい嬉しかったですね。

実行者の思いと応援したい気持ちのクロスポイントを探る

──素敵ですね。クラウドファンディングのキュレーターとして大事にしていることは何かありますか?

READYFORは、達成率にすごくこだわっています。自分自身もキュレーターとして持った案件は絶対達成させたいと思っていて、達成率の高さで言うとキュレーターの中で常に三番手くらいではいました。

では、達成のために大事にしていたことは何かというと、プロジェクトの意義と実行者の方の思いと世の中の人の応援したい気持ちが上手くクロスするポイントを探すってことです。

担当したプロジェクトをいろんな観点から深掘りしてヒアリングする中で実行者の方について徹底的に理解し、支援する方が誰で、どういう動機から実行者さんを支援してくれるのかの解像度を高めて、どこでマッチするのかを探し、テーマとして打ち出す。

このことを常に意識して考えてきました。

READYFORはプラットフォームとして支援者のデータも溜まっていますし、プロジェクトごとの支援者が”誰なのか”も実行者と一緒に分析できる立場にあります。

最近はREADYFORで毎年プロジェクトを実行してくださる方も増えているので、1回のクラウドファンディングで得られた情報を元に解像度を上げて次回に活かす力はこれからのキュレーターにより求められているのではないかと思いますね。

──もともとの自分の考え方やスキル、キャラクター的にここはクラウドファンディングのキュレーターに向いているなって部分はありますか?

まず思うのは、誰かのためにがんばりたいという実行者の方のピュアなモチベーションを感じながら一緒に何かできることに魅力を感じていたことですね。

実行者の方からエネルギーをもらいながら、そのエネルギーを原動力にがんばれるのは幸せなことだなと思っています。

他には、どんなプロジェクトであれ実行者の方を肯定し、信じることができた点ですかね。

僕は物事に対してこうじゃなきゃいけないというこだわりが薄い人なので、いろんなプロジェクトに触れる中で全てに対して「こういうところがいいですよね」「こういう価値がありますよね」と一緒に信じてやれました。

さらに長く、深く。ファンドレイザーになって提供する価値が広がった。

──今、二之方さんはファンドレイザーの仕事をされていますよね。そもそもファンドレイジングってなんなのかってところから、現在の職務内容について教えていただきたいです。

ファンドレイジングとは、一般的には民間非営利団体が活動のための資金を個人、法人、政府などから集めることを指します。


そして、ファンドレイザーの仕事は、団体自体や団体が取り組んでいる課題意識や目的意識を共有してお金の出し手に「いいね」「応援しなきゃ」「どうにかしなきゃね」と思ってもらい、その団体に課題解決を託してもらうってことだと思います。

個人的には、団体さんからすればファンドレイジングって積極的にやりたいことではないように感じることがあります。積極的にやりたいことではないけど、やらなければいけない。そういう位置付けになっている団体さんがすごい多いんじゃないかと感じます。

課題を解決する活動そのものや、困っている人たちに全力を尽くすこと、本当はそこに一番リソースを集中させたいし、実際している場合が多い。

結果的に、課題の深刻さや課題に取り組む意義、活動内容を社会に広く伝えることに取り組んだことすらない団体さんも多いと感じます。資金や人手もギリギリで、やりたいけど動けないケースもすごく多いです。

繰り返しになりますが、団体が解決しようとしている課題をわかりやすく翻訳する、整理し直してステークホルダーに伝え繋ぎ合わせることを担うのがファンドレイザーなんじゃないかと思っています。

──ファンドレイザーになってできることはどう広がりましたか?

使える手段が増えたと感じています。

クラウドファンディングのキュレーターの場合、そもそも団体としてある取り組みをしたくてそのためにいくらくらいお金が必要でというのが全部決まった上でクラウドファンディングがあって、どう伝えるかを中心に担う仕事になります。

これがファンドレイザーだと、「そもそも団体って3年後はどうあるべきなんでしょうか?」という上段の議論から入ったり、団体の財務状況を持続的に改善するために何ができるかを一緒に考えたりします。

単にクラウドファンディングをしましょうと提案するだけではなくて、他にもどんなお金を集める手段を組み合わせたら良いのか、そもそもこの財務状況になっているのはなぜなのかを一緒に解明していきます。

クラウドファンディングをする場合も単に取り組みに対する支援金を集めて終わりではなく、次のファンドレイジングに繋げられる示唆を得ることを念頭においてサポートをしています。例えば、終わった後の支援者アンケートから支援者分析をして、ペルソナを作りその後の活動に繋げていくことを提案しています。

つまり、どちらも団体の資金を集める点は同じですが、ファンドレイザーの場合はもっと上流から団体に入って支援するわけです。

ベストだと双方で思える戦略に辿り着くまでには膨大な時間がかかります。源流に遡って根本から改善するので、そこは大きな違いですかね。


良い問いを立てる力と業界への理解が求められる

──ファンドレイザーとして学習していかないとなと思っているところはありますか?

良い問いを立てることと業界への理解ですね。

ファンドレイザーには、最重要の課題を特定することと、筋の良い仮説を立てるスキルが求められます。

その団体が抱える一番の困りごとは何か、それがどういう構造になっているのか、その中での一番のネックは何か。これらをちゃんと整理して考えて「一番根本になっているのはこれですよね。だからこれを改善しないといけないですよね」と提案するのですが、それがそのまま最終的なアウトプットの質の高さに直結します。

もし、僕らの提案がピントを外していて、支援する団体が理想像に至るために大したことのない内容だったら、伴走しても結局何をやっていたんだっけとなる可能性があります。

だから、良い問いを立てる力、良い仮説を立てる力が求められるし、サポートする団体さんが取り組むことの専門的な部分への理解もある程度は求められます。

業界を理解せずに「こうあるべき」と言っても、「とはいえ業界の構造としてここは変えられないことで」みたいなことだってあるでしょう。その業界におけるその団体の見られ方、立ち位置みたいなところも同時に俯瞰して見れないといけません。

業界にどういうプレイヤーがいて、業界全体としてどういう課題があるのかまでわかって初めて良い提案ができるんじゃないかなと思います。

ほんと、日々勉強勉強です。

ピュアに社会課題に挑む人に伴走できるのが魅力

──そうなんですね。チームメンバーから吸収できること、READYFORで学べることという観点だとどんな魅力がありますか?

まず、広報やマーケティング、経営コンサルタントなどその道のプロフェッショナルがいて、いろんな専門スキルを持った人たちから直接学べます。

加えて、サービスの開発フェーズにあるからなのか、新しいチャレンジがどんどん流れ込み続けるので実践も存分にやれるので魅力的ですね。

たとえば、今も全く経験したことのないことにトライするチャンスが常にやってきています。

先ほどの資金調達だけではなくて、団体のファンドレイジングを成長させるトライアルとしてのクラウドファンディングに挑むとかもその一つです。

常に新しい頭の使い方が求められ、刺激が入ってくるので、ミスしても落ち込んでいる暇もないくらいです(笑)
会社にとっても重要な打席が自分にどんどん回ってきて、そこで力を試されるってのは光栄です。

──最後に、今大事にしている価値観とREAFYFORのカルチャーのクロスポイントがあれば聞かせてください。

僕の価値観は全然変わっていません。

誰かの困り事や世の中の課題をピュアに解決しに行きたいと思い、行動している人たちをサポートしたい。それがモチベーションとして一貫しています。

REAFYFORは、資本主義では解決できない新たなお金の流れをつくろうとしています。

だからこそ、ここにいて携われる実行者の方々は、経済合理性の外側にある社会課題に対して、人生をかけて解決したいと動くパッションある人たちばかり。そこが自分に合っていると思います。



ファンドレイジングのご相談はこちらから
READYFORファンドレイジングサービス:https://fr.readyfor.jp/

photo by 戸谷信博
edit by 久高諒也
directed by 佐藤友紀